どの種でも厚角組織が見られますが,ハンショウヅルとクレマチスではセンニンソウほど発達しません。ボタンヅルの厚角組織は板状肥厚か角隅肥厚か区別が曖昧です。
4種はいずれも師部,木部,形成層の観察には問題無いと考えられます。ハンショウヅルは,厚壁組織と厚角組織との境界があいまいで分かりづらく,センニンソウと比べてやや観察が難解でした。ボタンヅルは厚角組織が板状と角隅のどちらともつかないという点を除けば,センニンソウとほぼ等しい断面を観察出来ました。クレマチスは,センニンソウに近いものの,厚角組織はセンニンソウほど発達していませんでした。
真正中心柱や維管束だけを観察したい場合は,4種のどれを用いても観察に支障はないようです。厚角組織と厚壁組織について比較すると,やはりセンニンソウが最も優秀な教材と考えられます。4種の内,最も観察しづらかったのはハンショウヅルでした。ボタンヅルは採集が難しいかもしれませんが,概ねセンニンソウと同様な切片を観察出来ます。野外でセンニンソウあるいはボタンヅルが採集出来なかった場合は,園芸店で売られているクレマチスで代用することも可能なようです。クレマチスの園芸品種は様々なので,よりセンニンソウに近い品種を見つけて教材化すれば,センニンソウの入手が難しい地域の先生方でも植物組織の観察が容易になるでしょう。今後の課題です。
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