どの種でも厚角組織が見られますが,ハンショウヅルではセンニンソウほど発達しません。ボタンヅルの厚角組織は板状肥厚か角隅肥厚か区別が曖昧です。
真正中心柱や維管束だけを観察したい場合は,3種のどれを用いても観察に支障はないようです。厚角組織と厚壁組織について比較すると,やはりセンニンソウが最も優秀な教材と考えられます。3種の内,最も観察しづらかったのはハンショウヅルでした。ボタンヅルは採集が難しいかもしれませんが,概ねセンニンソウと同様な切片を観察出来ます。野外でセンニンソウあるいはボタンヅルが採集出来なかった場合は,園芸店で売られているクレマチスで代用することも可能かもしれません。クレマチスの園芸品種は様々なので,よりセンニンソウに近い品種を見つけて教材化すれば,センニンソウの入手が難しい地域の先生方でも植物組織の観察が容易になるでしょう。今後の課題です。