Ecklonia cava var. kuromeoides |
作成者:鈴木雅大 作成日:2020年6月6日 |
Ecklonia cava [subsp. stolonifera] var. kuromeoides S. Akita, K. Hashimoto, Hanyuda & H. Kawai 2020: 337. Fig. 10. |
黄藻植物(オクロ植物)門(Phylum Ochrophyta),クリシスタ(Chrysista),褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ亜綱(Subclass Fucophycidae),コンブ目(Order Laminariales),ネコアシコンブ科(Family Arthrothamnaceae),カジメ属(Genus Ecklonia) |
Type locality: "Nagaisho" Nagaiso, Yamaguchi Pref., Japan(山口県 萩市 長磯) |
Holotype specimen: SAP115489(北海道大学大学院理学研究院植物標本庫) |
撮影地:兵庫県 豊岡市 竹野町 竹野 大浦湾;撮影日:2019年5月8日;撮影者:鈴木雅大 |
撮影地:兵庫県 豊岡市 竹野町 竹野 大浦湾;撮影日:2017年5月9日;撮影者:鈴木雅大 |
Akita et al. (2020)は,本変種をカジメ(Ecklonia cava)の変種として記載しました。Akita et al. (2020)において,本変種はツルアラメ(E. cava subsp. stolonifera)を基にした変種("subsp. stolonifera var. kuromeoides")とされていますが,命名法において,変種・品種などの種内分類群はあくまでも「種」に関連付けられるものなので,「亜種の下に記載された変種」というものは命名法上ありえず,"subsp. stolonifera var. kuromeoides"のように,亜種と変種を並べて表記することは出来ません。しかし,本変種は「ツルアラメの匍匐茎を持たないもの」として認識されるもので,ツルアラメを基にして記載されたことを明記した方が,分類及び今後の変種の認識において都合が良いと考えられます。本サイトでは幾つかのイワヅタ類の例にならい,便宜上,亜種名を[subsp. stolonifera]として表記しました。
上述の通り,本変種は「匍匐茎を持たないツルアラメ」です。和名は付けられていませんが特徴を直接反映させるとしたら「ツルナシツルアラメ」でしょうか?さすがにそれはないかと思いますが,決して珍しい種類(変種)ではないだけに,適切な和名があった方が良いのではないかと思います。 Akita et al. (2020)によると,著者が新潟県佐渡島で採集したツルアラメと,兵庫県竹野で採集した「クロメ」は遺伝子解析において配列の差異がほとんど無く,日本海沿岸で「クロメ」とされているものは「匍匐茎を持たないツルアラメ」,すなわち本変種であることが示唆されています。「匍匐茎を持たないツルアラメ」をクロメ(E. cava subsp. kurome)と形態的に区別するのはほぼ不可能と考えられ,ミトコンドリア・コードのatpB-16S rDNA領域やcox3遺伝子の配列を決定するか,分布域によって区別するのが適当と考えられます。 |
参考文献 |
Akita, S., Hashimoto, K., Hanyuda, T. and Kawai, H. 2020. Molecular phylogeny and biogeography of Ecklonia spp. (Laminariales, Phaeophyceae) in Japan revealed taxonomic revision of E. kurome and E. stolonifera. Phycologia 59: 330-339. |
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2020. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 6 June 2020. |
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