ガゴメコンブ/ガゴメ Kjellmaniella crassifolia
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年11月26日(2020年6月6日更新)
 
ガゴメコンブ/ガゴメ(籠目昆布/籠目)*和名は暫定的なものです。
Kjellmaniella crassifolia Miyabe in Okamura 1902: 134.
 
黄藻植物(オクロ植物)門(Phylum Ochrophyta),褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ亜綱(Subclass Fucophycidae),コンブ目(Order Laminariales),コンブ科(Family Laminariaceae),ガゴメコンブ/ガゴメ属(Genus Kjellmaniella*属の和名は暫定的なものです。
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),コンブ目(Order Laminariales),コンブ科(Family Laminariaceae),トロロコンブ属(Genus Kjellmaniella
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),コンブ目(Order Laminariales),コンブ科(Family Laminariaceae),コンブ属(Genus Saccharina)*Saccharina sculperaとして
 
掲載情報
宮部 1902: 46. Pl. 17; 遠藤 1911: 374; 岡村 1925: 89. Pl. 224; 1936: 257; 川嶋 1989: 105. Pls 29-31, Figs 26, 27; 1993: 122-123. Fig. 61; 吉田 1998: 347-348. Pl. 2-27, Fig. C.
 
Homotypic synonym
  Saccharina crassifolia (Miyabe) C. Lane, Mayes, Druehl & G.W. Saunders 2006: 509. nom. illeg.
  Saccharina sculpera C. Lane, Mayes, Druehl & G.W. Saunders 2006: 509. *replaced synonym
 
Type locality: 北海道南部
Type specimen:
 
分類に関するメモ:ガゴメはトロロコンブ属(Kjellmaniella)の1種として記載されました。Lane et al. (2006a) はガゴメをトロロコンブ属からコンブ属(Saccharina)に移しました。その際,新組み合わせとして発表した"Saccharina crassifolia (Miyabe) C. Lane, Mayes, Druehl & G.W. Saunders"がSaccharina crassifolia (Postels & Ruprecht) Kuntzeの後続同名だったため,Lane et al. (2006b) は新名Saccharina sculperaを記載しました。トロロコンブ属からコンブ属に移ったことから,四ツ倉(2007)はガゴメの和名を「ガゴメコンブ」に変更しました。Starko et al. (2019) は核,ミトコンドリア,色素体をコードする計120個の遺伝子を用いた系統解析を行い,ガゴメコンブをコンブ属からKjellmaniella属に戻しました。
 
ガゴメコンブ Saccharina sculpela
 
ガゴメコンブ Saccharina sculpela
撮影地:北海道 函館市 住吉町;撮影日:2012年4月7日;撮影者:鈴木雅大
 
ガゴメコンブ Saccharina sculpela
 
ガゴメコンブ Saccharina sculpela
撮影地:青森県 下北郡 大間町;撮影日:2006年8月6日;撮影者:鈴木雅大
 
かつては,マコンブ(Saccharina japonicaに混じって採れる雑海藻として煙たがれる存在でしたが,フコイダン等の効能が見直されたことから,現在は函館を中心に一大産業となっています。

ガゴメコンブ(ガゴメ)は,所属する属が一度コンブ属(Saccharina)に移り,その後再びKjellmaniella属に戻されたため,種の和名と属の和名について再び検討する必要があるかもしれません。ガゴメコンブは「ガゴメ」と呼ばれてきましたが,コンブ属に移ったことを受け,「ガゴメコンブ」の名前が提唱された経緯があるのですが,Kjellmaniella属に戻っても「ガゴメコンブ」のままとするのか,「ガゴメ」に戻すのか,検討が俟たれています。著者個人としては「ガゴメ」で習ってきたため「ガゴメ」の方が馴染みがあるのですが,「がごめ昆布」として著名な海藻の一つとなっていることや,和名を何度も変更するのは混乱の元かもしれません。本サイトでは暫定的に「ガゴメコンブ/ガゴメ」としました。

種の和名をどうするかはKjellmaniella属の和名にも関わってきます。Kjellmaniella属のかつての和名は「トロロコンブ属」ですが,トロロコンブ(Saccharina gyrataはLane et al. (2006a)によりKjellmaniella属からコンブ属に移されました。Starko et al. (2019) の解析にトロロコンブは含まれていませんが,Starko et al. (2019) によるとトロロコンブはコンブ属に極めて近い(very likely)とされ,Kjellmaniella属に戻る可能性は低そうです。従ってKjellmaniella属は選定タイプ種であるガゴメコンブ/ガゴメ1種のみを含むことになり,Kjellmaniella属の和名はガゴメコンブ属あるいはガゴメ属とするのが適当でしょう。上述の通り,Kjellmaniella属に戻ったガゴメコンブ/ガゴメの和名が「ガゴメコンブ」と「ガゴメ」のどちらになるかで属名も変わるため,本サイトでは暫定的に「ガゴメコンブ/ガゴメ属」としました。

 
参考文献
 
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Lane, C.E., Mayes, C., Druehl, L.D. and Saunders, G.W. 2006a. A multi-gene molecular investigation of the kelp (Laminariales, Phaeophyceae) supports substantial taxonomic re-organization. Journal of Phycology 42: 493-512.
 
Lane, C.E., Mayes, C., Druehl, L.D. and Saunders, G.W. 2006b. Corrigendum [to article published in J. Phycol. 42(2): 493-12. 2006]. Journal of Phycology 42: 962.
 
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岡村金太郎 1925. 日本藻類圖譜 第5巻 第5集.東京.*自費出版
 
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Starko, S., Soto Gomez, M., Darby, H., Demes, K.W., Kawai, H., Yotsukura, N., Lindstrom, S.C., Keeling, P.J., Graham, S.W. and Martone, P.T. 2019. A comprehensive kelp phylogeny sheds light on the evolution of an ecosystem. Molecular Phylogenetics and Evolution 136: 138-150.
 
遠藤吉三郎 1911. 海産植物学.748 pp. 博文館,東京.
 
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌. 1222 pp. 内田老鶴圃, 東京.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版). 藻類 63: 129-189.
 
四ツ倉典滋 2007. 日本産寒海生コンブ科植物の学名について.藻類 55: 167-172.
 

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