後睾吸虫目の1種のメタセルカリア | ||||
作成者:鈴木雅大 作成日:2017年10月15日(2017年11月25日更新) | ||||
後睾吸虫目の1種のメタセルカリア | ||||
Metacercaria of Opisthorchiida sp. | ||||
動物界(Kingdom Animalia),左右相称動物亜界(Subkingdom Bilateralia),旧口動物(前口動物)下界(Infrakingdom Protostomia),冠輪動物上門(Superphylum Lophotrochozoa),扁形動物門(Phylum Platyhelminthes),有棒状体亜門(Subphylum Rhabditophora),新卵綱(Class Neoophora),新皮亜綱(Subclass Neodermata),吸虫下綱(Infraclass Trematoda),後睾吸虫目(Order Opisthorchiida) | ||||
採集地:兵庫県 淡路市 楠本川(淡路島)*カワムツに寄生;採集日:2017年9月13日;撮影者:鈴木雅大 | ||||
卵から第一中間宿主の淡水産巻貝のカワニナ類,第二中間宿主のカワムツ(Candidia temminckii),終宿主の水鳥へと宿主を移動していく寄生動物です。カワムツに寄生している段階はメタセルカリア(metacercaria)と呼ばれる状態で,カワムツの脳を取り出し,スライドガラス上で押しつぶすとメタセルカリアを観察出来ます。
2017年11月,著者は寄生虫学に関するセミナーに参加する機会を得ました。寄生虫の世界は著者の想像の範疇を幾重にも飛び越え,圧倒されて言葉も出ない有様でした。宿主と寄生虫の関係は非常に複雑で,複数の中間宿主を経て食物網の中を移動していくもの,宿主特異性が強いもの,弱いもの,そもそも宿主特異性の有無が分かっていないものなど様々でした。また,1匹の魚に門レベルで異なる寄生虫が何種類も寄生していることがあることを知りました。セミナー中,淡路島の川で採集,観察した寄生虫の同定が不安になり,参加者の先生方におたずねしたところ,メタセルカリアの状態で種同定することは難しく,通常は終宿主に食べさせた後に成虫となった状態を観察して同定するということを教えて頂きました。兵庫県の千種川でカワムツに寄生するCentrocestus armatusという種類が報告されているので(Kimura & Uga 2005),淡路島産もCentrocestus armatusかそれに近い種ではないかと思うのですが,正確な同定が出来るようになるまで後睾吸虫目(Opisthorchiida)の一種としました。 |
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参考文献 | ||||
Kimura, D. and Uga, S. 2005. Epidemiological study on Centrocestus armatus metacercariae in the Chikusa River, Hyogo Prefecture, Japan. Tropical Medicine and Health 33: 7-11. | ||||
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