ニハイチュウ科の1種 Dicyemidae sp.
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2010年10月28日
 
ニハイチュウ科の1種(二胚虫)
Dicyemidae sp.
 
動物界(Kingdom Animalia),左右相称動物亜界(Subkingdom Bilateralia),旧口動物(前口動物)下界(Infrakingdom Protostomia),上門の所属不確定(Incertae sedis),冠輪動物上門(Superphylum Lophotrochozoa),二胚動物門(Phylum Dicyemida),菱形動物綱(Class Rhombozoa),二胚虫目(Order Dicyemida),ニハイチュウ科(Family Dicyemidae)
 
マダコの解剖
マダコ(Octopus sinensisを解剖し,腎臓を取り出します。
 
ニハイチュウ Dicyemidae
 
ニハイチュウ Dicyemidae
 
採集地:神奈川県 三浦市 三崎町 荒井浜;採集日:2010年4月27日;撮影者:鈴木雅大
 
二胚虫類は,「二胚」という名前の通り2種類の幼生(胚)を持つ事が特徴で,無性生殖によって生じる蠕虫型幼生と有性生殖によって生じる(受精卵から生じる)滴虫型幼生の2種類の幼生を生じます。1個体当たりの細胞数が43個以下という,多細胞動物の中で最も細胞数が少ない分類群です。かつて二胚虫類は中生動物門(Mesozoa)に入れられていました。中生動物門は原生動物と後生動物との中間に位置する動物門として設立され,所属不明の多細胞動物が所属していました。近年,分子系統解析の発達などにより,中生動物門に所属していた動物の所属が明らかとなり,二胚虫類は二胚動物門(Dicyemida)とされました。

ニハイチュウの仲間は全て頭足類に寄生し,主に腎臓に寄生しています。 ここで紹介しているのはマダコ(Octopus sinensisの腎臓に寄生していたものです。寄生とはいっても宿主に害を与えないと考えられています。マダコには3種類のニハイチュウが寄生する事が知られていますが,本種が何という種に充てられるか同定中です。

 
参考文献
 
岩槻邦男・馬渡峻輔 監修.白山義久 編.2000. バイオディバーシティー・シリーズ 5 無脊椎動物の多様性と系統.324 pp. 裳華房,東京.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ オピストコンタ動物界冠輪動物上門
 
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