ザラハリガネムシ科の1種 Chordodidae sp.
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2015年10月15日
 
ザラハリガネムシ科の1種
Chordodidae sp.
 
動物界(Kingdom Animalia),左右相称動物亜界(Subkingdom Bilateralia),旧口動物(前口動物)下界(Infrakingdom Protostomia),脱皮動物上門(Superphylum Ecdysozoa),類線形動物門(Phylum Nematomorpha),ハリガネムシ綱(Class Gordioida),ハリガネムシ目(Order Gordioidea),ザラハリガネムシ科(Family Chordodidae)
 
ハリガネムシ Chordodidae
 
ハリガネムシ Chordodidae
撮影地:兵庫県 淡路市 岩屋(淡路島);撮影日:2015年10月15日;撮影者:鈴木雅大
 
ハラビロカマキリ(Hierodula pateliferaに寄生していたハリガネムシの1種です。カマキリの肛門を水につけると,かなり高い確率でハリガネムシが出てきます。カマキリから出てくるところを撮影するつもりだったのですが,水につけてすぐに出てきてしまい,カメラを構えるのが間に合いませんでした。経験者の多くが同意見かと思いますが,こんなものが良く腹の中に納まっているものだと改めて思いました。宿主と寄生者の関係は,ヒトから見ると気味が悪いという意味でも,面白いという意味でも「ぞっとする」という表現が当てはまると思います。ハリガネムシは,水生昆虫を中間宿主とし,水生昆虫がカマキリやカマドウマなどに捕食されることによって,終宿主であるカマキリやカマドウマに寄生します。寄生後は自身が成熟するまで宿主の中で成長し,時期が来たら外に出るためにカマキリを水に飛び込ませるという,実に見事な寄生生活をしています。カマキリにとってみればひどい奴ですが,そのメカニズムは興味が尽きません。寄生のメカニズムに加え,Sato et al. (2011) は,ハリガネムシの有無が生態的に直接影響を及ぼすことを報じており(National Geographicのwebナショジオを参照),生物学的に大きなトピックスを秘めた生き物です。
 
参考文献
 
Sato, T., Watanabe, K., Kanaiwa, M., Niizuma, Y., Harada, Y. and Lafferty, K.D. 2011. Nematomorph parasites drive energy flow through a riparian ecosystem. Ecology 92: 201–207.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ オピストコンタ動物界脱皮動物上門
 
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