ムカデミノウミウシ Pteraeolidia semperi |
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年6月4日(2023年6月18日更新) |
ムカデミノウミウシ(百足蓑海牛) |
Pteraeolidia semperi (Bergh, 1870) |
動物界(Kingdom Animalia),左右相称動物亜界(Subkingdom Bilateralia),旧口動物(前口動物)下界(Infrakingdom Protostomia),冠輪動物上門(Superphylum Lophotrochozoa),軟体動物門(Phylum Mollusca),腹足綱(Class Gastropoda),異鰓亜綱(Subclass Heterobranchia),マメウラシマ側区(Cohort Ringipleura),裸側亜区(Subcohort Nudipleura),裸鰓目(Order Nudibranchia),枝鰓亜目(Suborder Cladobranchia),オオミノウミウシ上科(Superfamily Aeolidioidea),ヨツスジミノウミウシ科(Family Facelinidae),ムカデミノウミウシ属(Genus Pteraeolidia) |
撮影地:神奈川県 三浦市 三崎町 諸磯;撮影日:2011年5月18日;撮影者:鈴木雅大 |
採集地:神奈川県 三浦市 三崎町 小網代;採集日:2013年6月27日;撮影者:鈴木雅大 |
背側突起 |
背側突起内のシンビオディニウム科の1種(Symbiodiniaceae sp.) |
ムカデミノウミウシ(Pteraeolidia semperi)は,背中にたくさんの突起を持つウミウシです。学名として"P. ianthina (Angas, 1864)"が用いられることがありますが,本サイトでは,今原(2023)に従い,P. semperiとしました。
ムカデミノウミウシの背側突起には,ズーザンテラ又はズーキサンテラ(zooxanthella)と呼ばれる共生藻類が細胞内共生しており,その光合成産物を利用していると考えられています。ズーザンテラの種類は未確認ですが,本種はヒドロ虫のRalpharia属(刺胞動物)を食べるそうなので,ヒドロ虫に共生している渦鞭毛類のシンビオディニウム科の1種(Symbiodiniaceae sp.)(注)をヒドロ虫ごと食べ,共生藻として背側突起の先端部に飼っていると考えられます。背側突起を一本ちぎり,顕微鏡で観察するとたくさんの「シンビオティニウム」が細胞内に入っている様子が観察されます。 注.従来シンビオディニウム属(Symbiodinium)と呼ばれてきた仲間ですが,シンビオディニウム属はLaJeunesse et al. (2018) により複数の属に分けられました。ムカデミノウミウシに共生している「シンビオディニウム」の属,種については分からなかったので,本サイトではシンビオディニウム科(Symbiodiniaceae sp.)の1種としました。 |
参考文献 |
今原幸光 編著.2023. 新 写真でわかる磯の生き物図鑑.286 pp. 海文堂,東京. |
LaJeunesse, T.C., Parkinson, J.E., Gabrielson, P.W., Jeong, H.J., Reimer, J.D., Voolstra,, C.R. and Santos, S.R. 2018. Systematic revision of Symbiodiniaceae highlights the antiquity and diversity of coral endosymbionts. Current Biology 28: 1-11. |
MolluscaBase eds. 2023. MolluscaBase. Pteraeolidia semperi (Bergh, 1870). Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=764917 on 2023-06-18. |
小野篤司 監修,加藤昌一 編.2009. ネイチャーウォッチングガイドブック ウミウシ 生きている海の妖精.272 pp. 誠文堂新光社,東京. |
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