タイワンハブ Protobothrops mucrosquamatus
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2010年12月13日
 
タイワンハブ(台湾波布,台湾飯匙倩)
Protobothrops mucrosquamatus (Cantor, 1839)
 
動物界(Kingdom Animalia),左右相称動物亜界(Subkingdom Bilateralia),新口動物(後口動物)下界(Infrakingdom Deuterostomia),脊索動物上門(Superphylum Chordata),脊椎動物門(Phylum Vertebrata),顎口下門(Infraphylum Gnathostomata),四肢動物上綱(Superclass Tetrapoda),爬虫綱(Class Reptilia),有鱗亜綱(Subclass Squamata),ヘビ目(Order Serpents),ナミヘビ上科(Superfamily Colubroidea),クサリヘビ科(Family Viperidae),マムシ亜科(Subfamily Crotalinae),ハブ属(Genus Protobothrops
 
タイワンハブ Protobothrops mucrosquamatus
撮影地:台湾 基隆市 台湾海洋大学キャンパス内;撮影日:2009年6月24日;撮影者:鈴木雅大
 
著者が台湾の研究室で働いていた時の話になりますが,ラボの外に出て涼んでいると,目の前の排水溝のそばにヘビがおりました。台湾ではヘビやトカゲは当たり前のように見られます。しかし,そのヘビからは何やら凶悪な雰囲気が漂っていました。三角形の頭と菱形の模様からすぐにハブだと気が付き,著者は戦慄しました。ハブと言えば沖縄の住民を震え上がらせる猛毒蛇です。その出血毒たるや,「患部は大きく腫れ上がり,激痛を伴う。毒の回りは遅く,じわじわと組織を破壊しながらゆっくりと全身に回っていく。(wikipedia)」これは洒落にならないなと思いながらも激写してしまいました。ちなみに沖縄のハブはホンハブ(Protobothrops flavoviridisといって種類が違いますが,ホンハブもタイワンハブも気性はとても荒く,赤外線センサーに反応した相手が何であろうが攻撃するそうです。そして,鞭のように体をしならせた素早い攻撃が売りとの事。今にして思えば,良く接写出来たものです。無知とは怖いものです。さっそく,毒蛇発見の報をボスに伝えたのですが、「いたって普通だよ」という返事が返ってきました。なんでも,台湾海洋大学はもともと旧日本軍の駐屯地だったそうで,戦時中,タイワンハブやタイワンコブラといった毒蛇は薬として重宝され,敷地内で飼われていたというのです。敗戦後,旧日本軍兵が蛇達を裏山に放したため,今でもたくさんの毒蛇が藪の中を徘徊しているのだとか。真偽のほどは分かりませんが,台湾の人がハブを見ても大して驚かないという事は良く分かりました。杜(2004)でも攻撃性「強」,毒性「強」,可見頻度「常見」となっています。

近年,タイワンハブが沖縄本島に人為的に持ち込まれ,ホンハブとの交雑などが問題となっているそうです。外来生物法における特定外来生物に指定されている他,環境省及び農林水産省が作成した生態系被害防止外来種リストでは,「緊急対策外来種」に選定されています。

 
参考文献
 
杜銘章 2004. 蛇類大驚奇.279 pp. 遠流出版,台北.
 
Uetz, P. and Jirí Hošek (eds.), The Reptile Database, http://reptile-database.reptarium.cz/species?genus=Protobothrops&species=mucrosquamatus, accessed April 24, 2013.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ オピストコンタ動物界脊索動物上門脊椎動物門爬虫綱有鱗亜綱ヘビ目クサリヘビ科マムシ亜科
 
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