私達の目にする自然景観のほとんどはコケ植物,シダ植物,裸子植物,被子植物などのいわゆる"陸上植物"から成り立っています。生物界全体から見れば,これらのグループは緑色植物亜界の中の一門ではあるものの,私達にとって身近なものが多く,種数も多いです。
かつて蘚類,苔類,ツノゴケ類はコケ植物門(Bryophyta)としてまとめられていましたが,これまでに行われた多くの系統・分類学的研究ではそれぞれ独立したグループであることが示唆されたことから,蘚類はゼニゴケ植物門(Marchantiophyta),苔類はマゴケ植物門(Bryophyta),ツノゴケ類はツノゴケ植物門(Anthocerotophyta)として,それぞれ独立した門とされました。3つのグループの系統関係については未だ諸説あり,仮説が出るたびに反論・反証が出されるため,2014年の段階では定説と呼べるものがありません。
ヒカゲノカズラ植物,シダ植物,種子植物(裸子植物と被子植物)から成る維管束植物の分類体系は様々です。伝統的な分類体系では、各植物をそれぞれ門の階級としていますが,近年は系統関係を反映させた分類として,維管束植物門(Phylum Tracheophyta)に種子植物亜門(Subphylum Spermatophytina),シダ植物亜門(Subphylum Pteridophytina),ヒカゲノカズラ植物亜門(Subphylum Lycopodiophytina)の3亜門を含めるものが主流になりつつあるようです。本サイトではRuggiero et al. (2015) を採用しました。 |