トゲイギス Centroceras gasparrinii
作成者:鈴木雅大 作成日:2016年1月19日(2018年4月21日更新)
 
トゲイギス(棘海髪)
Centroceras gasparrinii (Meneghini) Kützing 1849: 689.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イギス目(Order Ceramiales),イギス科(Family Ceramiaceae),イギス連(Tribe Ceramieae),ゴノメグサ属(Genus Centroceras
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),イギス目(Order Ceramiales),イギス科(Family Ceramiaceae),ゴノメグサ属(Genus Centroceras
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),イギス目(Order Ceramiales),イギス科(Family Ceramiaceae),ゴノメグサ属(Genus Centroceras
 
Basionym
  Ceramium gasparrinii Meneghini 1844: 186.
その他の異名
  "Ceramium clavulatum" auct. non Okamura 1900
  "Centroceras clavulatum" auct. non Okamura 1901
 
Type locality: Palermo, Sicily.
Type: L.
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii/>
撮影地:新潟県 佐渡市 小木 矢島(佐渡島);撮影日:2011年8月6日;撮影者:鈴木雅大
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
撮影地:千葉県 銚子市 外川町 弘法水;撮影日:2011年8月16日;撮影者:鈴木雅大
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
撮影地:兵庫県 淡路市 岩屋 田ノ代海岸(淡路島);撮影日:2015年6月30日;撮影者:鈴木雅大
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
撮影地:福岡県 糟屋郡 新宮町 新宮漁港;撮影日:2018年4月17日;撮影者:鈴木雅大
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii   トゲイギス Centroceras gasparrinii
押し葉標本(採集地:新潟県 両津市 風島弁天(現 佐渡市);採集日:2003年7月24日;採集者:鈴木雅大)   押し葉標本(採集地:千葉県 銚子市 外川町;採集日:2004年8月28日;採集者:鈴木雅大)
 
かつてはCentroceras clavulatumという種類に充てられていましたが,Won et al. (2009) により,日本で報告されてきたトゲイギスはC. clavulatumとは別種であり,C. gasparriniiであることが確認されました。世界各地に分布すると考えられてきたC. clavulatumは太平洋東部沿岸,オーストラリア東岸,ニュージーランドなどに限られ,代わりに本種が太平洋,大西洋,インド洋などの世界各地に広く分布していることが分かってきました。
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii   トゲイギス Centroceras gasparrinii
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
四分胞子嚢と保護糸 *1.0%エリスロシン水溶液で染色
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
四分胞子嚢を付けた枝のスケッチ
 
四分胞子嚢の回りに苞状糸(保護糸)を持つのが本種の特徴の一つですが,苞状糸を持たない個体もあるという指摘があり,苞状糸を持つ個体と持たない個体は系統的にも近縁であるそうです。岡村(1902)の「日本海藻圖説」に描かれているトゲイギスも苞状糸がありません。これだけ際立った特徴が場所や条件によってあったり無かったりするだろうかと疑問に思っていますが,著者はこれまで苞状糸を持たない個体を採集したことが無いため確かめることが出来ずにおります。
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii   トゲイギス Centroceras gasparrinii
体の横断面 *1.0%コットンブルー水溶液で染色
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
体の横断面のスケッチ
 
トゲイギス Centroceras gasparrinii   トゲイギス Centroceras gasparrinii
腺細胞(矢印)は楕円形 *右図は1.0%コットンブルー水溶液で染色
 
本種のもう一つの特徴が,腺細胞と呼んでいる細胞(注)の形態です。本種の腺細胞は球形から楕円形に近い形をしており,かつて同種と考えられてきたCentroceras clavulatumと本種とを形態的に区別する特徴の一つです。

注.紅藻類の細胞でしばしばみられる特別な体細胞のことを腺細胞と呼んでいます。「腺」という名前の通り,分泌に関わるものあれば,代謝産物の貯蔵に関わるもの,機能不明なものまで様々です。トゲイギスの「腺細胞」の機能は分かっていません。

 
トゲイギス Centroceras gasparrinii
枝の先端部のスケッチ
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2016. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 19 January 2016.
 
Kützing, F.T. 1849. Species algarum. 922 pp. Lipsiae: F.A. Brockhaus.
 
Meneghini 1844. Del genre Ceramium e di alcune sue specie. Giornales Botanico Italiano Anno 1 Tomo 1: 178-186.
 
岡村金太郎 1900-1902. 日本海藻圖説. 敬業社,東京.
 
Won, B.Y., Cho, T.O. and Fredericq, S. 2009. Morphological and molecular characterization of species of the genus Centroceras (Ceramiaceae, Ceramiales), including two new species. Journal of Phycology 45: 227-250.
 
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌. 1222 pp. 内田老鶴圃, 東京.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版). 藻類 63: 129-189.
 

写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ紅藻植物門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱イギス目イギス科

「生きもの好きの語る自然誌」のトップに戻る