キジノオ Phacelocarpus japonicus
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2013年12月31日(2018年3月31日更新)
 
キジノオ(雉の尾)
Phacelocarpus japonicus Okamura 1902: 79. Pl. 27.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),キジノオ科(Family Phacelocarpaceae),キジノオ属(Genus Phacelocarpus
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),キジノオ科(Family Phacelocarpaceae),キジノオ属(Genus Phacelocarpus
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),スギノリ目(Order Gigartinales),キジノオ科(Family Phacelocarpaceae),キジノオ属(Genus Phacelocarpus
 
掲載情報
岡村 1936: 619. Fig. 293; 吉田 1998: 772. Pl. 3-41, Fig. H; 中庭 2020: 60.
 
Basionym
  Desmia japonica Harvey 1860: 331.
 
Type locality: 神奈川県 三崎
Lectotype specimen: SAP herb. Okamura(北海道大学大学院理学研究科植物標本庫 岡村金太郎コレクション)
 
茨城県版レッドデータブック2020年版:絶滅危惧I類
 
キジノオ Phacelocarpus japonicus
 
キジノオ Phacelocarpus japonicus
採集地:千葉県 いすみ市 大原 丹ヶ浦;採集日:2016年4月27日;撮影者:鈴木雅大
 
キジノオは,外形がタマイタダキ(Delisea japonicaと酷似しています。「タマイタダキ」は,和名が示すように嚢果を枝先に付けるため,嚢果を付けていれば2種を区別することは容易です。しかし,嚢果を付けていない場合,キジノオとタマイタダキの区別はかなり難しいと思います。キジノオとタマイタダキは枝の生じ方に違いがあるとされており,キジノオは歯状片と歯状片の間及びわずかに隆起した中肋部から新しい枝を生じますが(写真の矢印),タマイタダキは歯状片が直接変成して新しい枝となります。ただ,この特徴で見分けるには経験が要るようで,著者は千葉県大原で採集したキジノオについて,採集時はキジノオと同定したものの,枝の生じ方が,中肋部からというよりも歯状片が直接変成しているように見えたので,タマイタダキと同定を改めました。ところが,DNAを抽出してrbcL遺伝子の配列を決定したところ,タマイタダキではなく,キジノオで合っていたことが判明し,再び同定を改めることとなりました。

良く考えると,切片を作製して横断面を観察すれば2種を区別することが可能ですし,タマイタダキにおいては,体に腺細胞を持つので,切片を作らずとも顕微鏡で枝の先端付近の表面を観察することで同定可能です。次にキジノオを採集する機会があれば,切片を作製し,横断面を観察したいと思います。

 
キジノオ Phacelocarpus japonicus
 
キジノオ Phacelocarpus japonicus
押し葉標本(採集地:静岡県 下田市 田牛;採集日:2007年4月16日;採集者:鈴木雅大)
 
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2013. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 31 December 2013.
 
中庭正人 2020. キジノオ.In: 茨城における絶滅のおそれのある野生生物 蘚苔類・藻類・地衣類・菌類編 2020年版(茨城県版レッドデータブック).p. 60. 茨城県民生活環境部自然環境課,水戸.
 
岡村金太郎 1902. 日本海藻圖説 第1巻 第6冊.敬業社,東京.
 
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌.964 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ紅藻植物門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱スギノリ目
 
日本産海藻リスト紅藻植物門真正紅藻亜門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱スギノリ目キジノオ科キジノオ属キジノオ
 
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