葉の採集
珍しいものではなく,いつも目にする樹木,大学のキャンパスや学校の校庭で見られるものを採集します。本実習を行うに当たって最も困難なのが材料の確保です。植物は生き物です。樹木の葉は,四季によって変化します。落葉樹の葉は,5-8月位までしか採集出来ませんし,常緑樹であっても冬場の葉は病気にかかっていることや,逆に夏場は虫に食われるなどして,押し葉に使えないことがあります。理想を言えば,全ての材料を実習の一年前に採り集めておくことが望ましいです。
採集の準備
昔ながらの採集道具
胴乱:採集した葉を入れますが,何十人分もの葉を入れるには,1個の胴乱では小さすぎます。
新聞紙:採集した葉を挟むのに使います。
野冊:新聞紙に挟んだ葉を,挟んで持ち帰るためのものです。
剪定バサミ:ケヤキやカツラなどは,剪定バサミで枝を切り落とします。
帽子:晴れの日は当然のこと,曇りの日でも必須です。
注. 昔ながらの採集スタイルとして,野冊と胴乱を紹介してみましたが,野冊と胴乱は現在入手する事が難しく,持っている方は少ないと思います。もちろん,ビニール袋で代用可です。そもそも,野冊と胴乱を持って,許可なしに山や森に入ろうものなら,植物泥棒(違法採集)として捕まりかねません。
胴乱と野冊の代用品
ゴムひも 2本:自転車の荷台用のゴムひもです。3 m位のものが使いやすいです。
ビニール袋:レジ袋でも何でも良いですが,枝を入れると簡単に穴が開くので,丈夫なものの方が良いです。
ベニヤ板:A3よりやや大きめ位,厚さは3 mm位あるものが良いでしょう。
葉の採集
胴乱一杯に採集した葉
野外に出かけ,葉を採集しましょう。ただし,植物はむやみに採集して良いものではありません。国立,国定公園などでの採集は違法です。また,特に規制されていないからといってあるもの全て根こそぎ持っていくのも論外です。生き物への愛情,敬意,謙虚さ,そこに探究心と小さな冒険心を加えて,しっかりと勉強しましょう。
葉の選択
押し葉とするのに適した葉を採集します。葉の特徴を良く著していて,病気等の無い良く生長した葉を採ります。
良い例
悪い例
葉の採集後 1. 新聞紙に挟む
採集して時間が経った葉はくしゃくしゃになり,最悪の場合きれいに広がらなくなります。そこで,採集した葉は,出来る限り早く新聞紙に挟みます。
1. 葉を新聞紙の上に重ならないように並べます
2. 新聞紙で丁寧に挟みます
葉の採集後 2. 野冊(ベニヤ板)に挟む
新聞紙に挟んだ葉を野冊かベニヤ板でしっかりと挟みます。この状態で持ち帰ります。葉を圧搾して乾燥させるとともに,葉を壊さずに持ち運ぶことが出来ます。
野冊を使う場合
葉を挟んだ新聞紙を野冊で挟みます。
ひもできつく縛ります。
ベニヤ板を使う場合
葉を挟んだ新聞紙をベニヤ板で挟みます。
ゴムひもで2箇所をしっかり縛ります。
整枝
葉を採集したものは,そのまますぐに乾燥に取り掛かれますが,枝ごと採集したものは,葉を何枚か裏返すとともに,全体的な形を整える必要があります。これを整枝といいます。採集直後の葉はなかなか裏返りません。そこで,まずは新聞紙と野冊(ベニヤ板)に挟み,ある程度葉の水気を取ります。数時間ほど経つと,葉が柔らかくなり,裏返しやすくなります。整枝が出来たら改めて乾燥に取り掛かります。
シラカシの枝の整枝:2, 3枚を裏返します。
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© 2010 Masahiro Suzuki