押し葉に何を書き込んだら良いか |
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博物館の標本庫に収めるA3の押し葉標本ならば,右下に採集地,採集日,採集者などの情報が入ったラベルを貼り,台紙には通常何も書き入れません。しかし,ここでの押し葉作りは,名前を覚えるためのものです。押し葉には様々な情報を書き込んだ方が,「押し葉帳」として使い勝手が良いでしょう。和名と自分(作成者)の名前は押し葉を作る際に書き入れました。ここでは,この他に何を書き入れたら良いかを論じます。 |
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1. 学名:学名は生物の世界共通の名前です。その種にとって唯一無二の名前である事から書き入れた方が望ましいと考えられます。けれども,ラテン語で標記されるため,通常,専門家の間でしか通用しないという難点があります。 |
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2. 科名:生物は科によってまとめられます。多くの図鑑では生物は科ごとにまとめられて掲載されています。科の和名だけでも書き入れた方が,便利に使えるでしょう。 |
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3. 目名:科は目にまとめられますが,近年,植物の目の分類は大きく変化しており,図鑑によって扱いが異なります。目名は書き入れない方が良いでしょう。 |
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4. 学名の意味:属名,種小名のラテン語には意味があります。これを調べて,押し葉に書くのも一つのアイデアです。ただ,中には必ずしもその植物の特徴を著していない名前もあり,実用的ではないように思えます。 |
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5. 和名の意味:学名と違い,和名は身近なものです。シナノキ=良く「しなる」木,ウリハダカエデ=瓜のような木肌をしたカエデなど,木の特徴を良く著したものも多く,和名の意味を調べることで植物を覚えられるケースも多いでしょう。 |
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6. 採集地,採集日,採集者:どこでいつ採ったものかという情報は重要です。学術的な意味だけでなく,児童・生徒にとっても興味を引かれるものです。「~~小学校の校庭」など,身近な場所で採られたものであればなおさらです。採集者については,必ずしも必要ではないと思います。 |
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7. 葉の特徴:作った種類を図鑑で調べるのは必須です。調べた葉の特徴などを自分だけの情報として押し葉に書き入れることで,「押し葉帳」をより便利に使えるようになるでしょう。 |
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教える対象にもよりますが,著者は対象が大学生以上でしたら学名・科名・採集地・採集日・葉の特徴を,高校生以下でしたら採集地・採集日・葉の特徴は必須とし,他は学生が書き込みたいものを自由に書くよう指導しています。 |
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© 2010 Masahiro Suzuki |