アーケプラスチダ Supergroup Archeplastida ≒ 植物界 Kingdom Plantae
作成日:2010年6月26日(2019年6月2日更新)
 
葉緑体(色素体)の1回共生,すなわちシアノバクテリアを細胞内共生したグループです。葉緑体(色素体)包膜が2枚である事で特徴づけられています。
 
 
別名と分類階級

スーパーグループとしてのアーケプラスチダは界,門などの分類階級ではありませんが,五界説における植物界(プランテ,Kingdom Plantae Haeckel 1866)に所属していた生物を多く含んでおり,植物界として用いている文献(Ruggiero et al. 2015),データベース(Algaebaseなど)もあります。Adl et al. (2005, 2012, 2019)は植物界を用いず,最初の植物あるいは真の植物という意味でアーケプラスチダ(Arcaheplastida)という名称を提唱しています。アーケプラスチダと植物界のどちらを用いるのが適当か,現時点では判断がつかないため,本サイトでは暫定的に「アーケプラスチダ ≒ 植物界」と表記しました。

「アーケプラスチダ ≒ 植物界」は,緑色植物/緑色藻類,紅藻類,灰色藻類の3つのグループに分けられますが,各グループの分類階級は定まっていません。Ruggiero et al. (2015)は緑色植物/緑色藻類を緑色植物亜界(Subkingdom Viridiplantae),紅藻類と灰色藻類をビリファイタ亜界(Subkingdom Biliphyta)としましたが,紅藻類と灰色藻類を同一の亜界にまとめることには疑問があります。紅藻類を紅藻植物亜界(Subkingdom Rhodobionta)として分け,植物界(Plantae)の下に緑色植物亜界(Viridiplantae),紅藻植物亜界(Rhodobionta),灰色植物亜界(Biliphyta?)を置くのが最も自然な分類体系ではないかと思いますが,現時点では判断がつきません。Adl et al. (2005, 2012, 2019)は緑色植物/緑色藻類をChloroplastidaとしていますが,分類階級としての名称ではありません。本サイトでは,「アーケプラスチダ ≒ 植物界」の分類体系が定まるまで,暫定的に緑色植物亜界(Viridiplantae),紅藻植物門(Rhodophyta),灰色植物門(Glaucophyta)としました。

 
緑色植物亜界 Subkingdom Viridiplantae Cavalier-Smith 1981
緑色植物亜界はクロロフィルa, bを持つ事と2本の鞭毛を持つ事で特徴付けられます。Adl et al. (2005, 2012, 2019) はこのグループに相当する名称としてChloroplastidaを提唱しています。本サイトではChloroplasitidaの分類階級が定まっていないことから,暫定的に緑色植物亜界(Viridiplantae)を採用しました。
 
紅藻植物門 Phylum Rhodophyta
分類階級を揃えるならば紅藻植物亜界(Rhodobionta)とするのが妥当ではないかと思いますが,現時点では判断がつかないため,本サイトでは紅藻植物門(Rhodophyta)としました。イデユコゴメ綱(Cyanidiophyceae)をイデユコゴメ門(Cyanidiophyta)とする見解もありますが,ここでは紅藻植物門に含みました。光合成色素としてクロロロフィルaとフィコビリンタンパク質を持ち,鞭毛を持っていない事で特徴づけられます。
 
灰色植物門 Phylum Glaucophyta
Ruggiero et al. (2015)は紅藻類と共にビリファイタ亜界(Biliphyta)としましたが,Adl et al. (2005, 2012, 2019)では採用されていません。本サイトでは灰色植物門(Glaucophyta)としました。3属しか知られていない小さなグループです。シアノバクテリアの特徴を良く残した葉緑体を持つことと,光合成色素としてクロロフィルaとフィコビリンタンパク質を持つ事で特徴づけられます。日本にもGlaucocystis属やCyanophora属などが知られていますが,著者らは採集経験が無く,写真はありません。
 
参考文献
 
Adl, S.M., Bass, D., Lane, C.E., Lukeš, J., Schoch, C.L., Smirnov, A., Agatha, S., Berney, C., Brown, M.W., Burki, F., Cárdenas, P., Cepicka, I., Chistyakova, L., Campo, J. del, Dunthorn, M., Edvardsen, B., Eglit, Y., Guillou, L., Hampl, V., Heiss, A., Hoppenrath, M., James, T.Y., Karnkowska, A., Karpov, S., Kim, E., Kolisko, M., Kudryavtsev, A., Lahr, D.J.G., Lara, E., Le Gall, L., Lynn, D.H., Mann, D.G., Massana, R., Mitchell, E.A.D., Morrow, C., Park, J.S., Pawlowski, J.W., Powell, M.J., Richter, D.J., Rueckert, S., Shadwick, L., Shimano, S., Spiegel, F.W., Torruella, G., Youssef, N., Zlatogursky, V. and Zhang, Q. 2019. Revisions to the classification, nomenclature, and diversity of eukaryotes. Journal of Eukaryotic Microbiology 66:4-119.
 
Adl, S.M., Simpson, A.G.B., Farmer, M.A. et al. 2005. The new higher level classification of eukaryotes with emphasis on the taxonomy of protists. Journal of Eukaryotic Microbiology 52:399–451.
 
Adl, S.M., Simpson, A.G., Lane, C.E., Lukeš, J., Bass, D., Bowser, S.S., Brown, M.W., Burki, F., Dunthorn, M., Hampl, V., Heiss, A., Hoppenrath, M., Lara, E., Le Gall, L., Lynn, D.H., McManus, H., Mitchell, E.A., Mozley-Stanridge, S.E., Parfrey, L.W., Pawlowski, J., Rueckert, S., Shadwick, L., Schoch, C.L., Smirnov, A., Spiegel, F.W. 2012. The revised classification of eukaryotes. Journal of Eukaryotic Microbiology 59:429-493.
 
Ruggiero, M.A., Gordon, D.P., Orrell, T.M., Bailly, N., Bourgoin, T., Brusca, R.C., Cavalier-Smith, T., Guiry, M.D. and Kirk, P.M. 2015. A higher level classification of all living organisms. PLoS ONE 10: e0119248.
 

写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメイン

「生きもの好きの語る自然誌」のトップに戻る