イワゲショウ Cruoriella elegans
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2022年1月30日
 
イワゲショウ(岩化粧)
Cruoriella elegans Nozawa 1968: 112, 113. Figs 1-3. nom. inval. [非正式名].
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イワノカワ目(Order Peyssonneliales),イワノカワ科(Family Peyssonneliaceae),イワゲショウ属(Genus Cruoriella
 
Type locality: 鹿児島県 枇榔島沖 水深30m
Type specimen:
 

分類に関するメモ:野沢(1968)は,鹿児島県枇榔島沖からCruoriella属の新種を記載し,C. elegansと命名しました。野沢(1968)は,ラテン語の記載文または判別文を伴っていないため,国際藻類・菌類・植物命名規約(深圳規約 2018)の44.1条により,非正式名(invalid name)となります。野沢(1968)は,C. elegansの和名を「イワゲショウ」としましたが,吉田ら(2005)は,Kato et al. (2005)が日本新産種として報告したC. armoricaの和名を「イワゲショウ」としました。Crouriella elegansは,非正式名であるため,吉田(1998)や日本産海藻目録では取り上げられておらず,Kato et al. (2005)においても触れられていません(注)。Crouriella elegansは,非正式名であることに加え,原記載以降報告がなく,標本の所在も不明です。このため,現時点では,C. armoricaの和名を「イワゲショウ」として問題ないと考えられますが,将来的にC. elegansが正式発表される,あるいはC. elegansに相当する標本が見つかった場合,和名を巡る混乱が生じる可能性があります。

注.吉田(1998)は,C. elegansを裸名(nomen nudum)としていますが,非正式名が正しい表記と考えられます。
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2022. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 30 January 2022.
 
Kato, A., Masuda, M. and Kawai, H. 2005. New records of Peyssonnelia armorica and Peyssonnelia harveyana (Rhodophyta, Gigartinales) from Japan. Phycological Research 53: 266-274.
 
野沢ユリ子 1968. 南西諸島イワノカワ科の解剖分類学的研究(1)Cruoriella elegans sp. nov.について.藻類 16: 106-114.
 
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
吉田忠生・嶌田 智・吉永一男・中嶋 泰 2005. 日本産海藻目録(2005年改訂版).藻類 53: 179-228.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189.
 
 
日本産海藻リスト紅藻植物門真正紅藻亜門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱イワノカワ目イワノカワ科イワゲショウ属イワゲショウ
 
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