ウガノモク Stephanocystis hakodatensis |
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作成者:鈴木雅大 作成日:2011年11月25日(2013年9月20日更新) |
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ウガノモク(宇賀の藻屑)*函館市宇賀浦に由来します。 |
Stephanocystis hakodatensis (Yendo) Draisma, Ballesteros, F.Rousseau & T.Thibaut 2010: 1340. |
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不等毛植物門(Phylum Heterokontophyta),褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ亜綱(Subclass Fucophycidae),ヒバマタ目(Order Fucales),ホンダワラ科(Family Sargassaceae),ウガノモク属(Genus Stephanocystis) |
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*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ目(Order Fucales),ウガノモク科(Family Cystoseiraceae),ウガノモク属(Genus Cystoseira) |
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ目(Order Fucales),ホンダワラ科(Family Sargassaceae),ウガノモク属(Genus Stephanocystis) |
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掲載情報 |
須田 2021: 39, 92. |
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Basionym |
Cystophyllum hakodatense Yendo 1907: 32. Pl. 2, Figs 13-16; 1909: 79; 1911: 446. Fig. 137; 岡村 1924: 43. Pl. 211; 1936: 308. Fig. 162; Nagai 1940: 131. |
Homotypic synonym |
Cystoseira hakodatensis (Yendo) Fensholt 1952: 563; 吉田 1993: 152, 153. Fig. 76; 1998: 362. Pl. 2-29, Figs E, F; 吉﨑ら 1996: 15. Fig. 2, no. 6. Fig. 3, no. 4; 吉﨑 1998: 643. Fig. 5-704. |
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Type locality: 北海道 日高 庶野 |
Lectotype specimen: SAPA(北海道大学 農学部) |
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千葉県レッドデータブック植物・菌類編 2023年改訂版:情報不足種 |
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分類に関するメモ:ウガノモクは,Cystoseira属に所属していましたが,Draisma et al. (2010) は,ミトコンドリア・リボソームDNAの部分配列と色素体コードのpsbA遺伝子を用いた遺伝子解析により,Cystoseira属が6つの属に分けられる事を示し,ウガノモクをCystoseira属からStephanocystis属に移しました。 |
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撮影地:北海道 函館市 住吉漁港;撮影日:2012年4月7日;採集者:鈴木雅大) |
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押し葉標本(採集地:岩手県 下閉伊郡 山田町 田の浜荒神;採集日:2005年6月24日;採集者:鈴木雅大) |
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気胞 |
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付着器と体下部の枝 |
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千葉県銚子半島のウガノモク |
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ウガノモク(Stephanocystis hakodatensis)は北海道や東北地方太平洋沿岸などに分布する北方性の種類ですが,千葉県銚子半島で見つかったことがあります。銚子半島は,遠方に生育する海藻が漂着する場所として知られており,北方性の海藻としては,ガゴメ(Kjellmaniella crassifolia),エゾイシゲ(Silvetia babingtonii),カタベニフクロノリ(Devaleraea firma)などが漂着しています(千原 1975; 吉﨑ら1996)。ウガノモクは1992年7月1日に銚子市長崎に漂着した標本が残されていました。1995年,故吉﨑 誠博士(東邦大学名誉教授)は,銚子市君ヶ浜でウガノモクが自生しているのを発見されました。吉﨑(1998)には1995年5月28日に銚子市君ヶ浜で撮影されたウガノモクの写真が掲載されている他,東邦大学に残されていた標本の中に1996年6月16日に君ヶ浜で採集された標本がありました。ウガノモクは,福島県(須田 1987, 2021),茨城県(川端 1939)に記録があるものの,普通にみられるのは宮城県位までではないかと思います。銚子半島は親潮の影響を受けるので,ウガノモクが自生していてもおかしくはないかもしれませんが,銚子半島のウガノモクは,1996年を最後に確認されていません。その年の水温等の条件によって定着出来る年と出来ない年があるのかもしれません。千葉県レッドデータブック植物・菌類編 2023年改訂版では「情報不足種」としました。ウガノモクが銚子半島で再発見される日が俟たれます。 |
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参考文献 |
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千原光雄 1975. 銚子で打揚げで得た海藻.藻類 23: 157. |
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Draisma, S.G.A., Ballesteros, E., Rousseau, F. and Thibaut, T. 2010. DNA sequence data demonstrate the polyphyly of the genus Cystoseira and other Sargassaceae genera (Phaeophyceae). Journal of Phycology 46: 1329-1345. |
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Fensholt, D.E. 1952. A revision of the genus Cystophyllum. Summaries of Doctoral Dissertations...submitted to the Graduate School of Northwestern University 19: 560-563. |
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Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2013. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 20 September 2013. |
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川端清策 1939. 茨城県(常陸国)沿岸の海産藻類に就いて.植物及動物 7: 1563-1567. |
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Nagai, M. 1940. Marine algae of the Kurile Islands, I. Journal of the Faculty of Agriculture, Hokkaido Imperial University 46: 1-137. |
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岡村金太郎 1924. 日本藻類圖譜 第5巻 第3集.内田老鶴圃,東京. |
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岡村金太郎 1936. 日本海藻誌.964 pp. 内田老鶴圃,東京. |
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須田昌宏 1987. 福島県いわき市沿岸の海藻.藻類 35: 22-33. |
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須田昌宏 2021. 福島県の海藻.116 pp. 福島.*自費出版. |
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Taylor, W.R. 1945. Pacific marine algae of the Allan Hancock Expeditions to the Galapagos Islands. Allan Hancock Pacific Expeditions 12: i-iv, 1-528. |
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Trevisan, V.B.A. 1843. Synopsis generum algarum. Atti della Quarta Riunione degli Scienziati Italiani 4: 332-335. |
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Yendo, K. 1907. The Fucaceae of Japan. Journal of the College of Science, Tokyo Imperial University 21: 1-174. |
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遠藤吉三郎 1909. 莫語花.174 pp. 裳華房,東京. |
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遠藤吉三郎 1911. 海産植物学.748 pp. 博文館,東京. |
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吉田忠生 1993. Cystoseira hakodatensis (Yendo) Fensholt(ウガノモク).In: 堀 輝三(編) 藻類の生活史集成 第2巻 褐藻・紅藻類.pp. 152, 153. 内田老鶴圃,東京. |
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吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京. |
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吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189. |
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吉﨑 誠 1998. 第5章 第4節 12. ヒバマタ目.In: 千原光雄 編集代表.千葉県の自然誌本編4 千葉県の植物1.pp. 642-648. 千葉県. |
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吉﨑 誠・吉野英雄・鳩貝太郎 1996. 銚子に打ち上げられた海藻について.千葉生物誌 45 (2): 12-16. |
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