アカクラゲ Chrysaora pacifica
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2014年4月6日(2021年4月17日更新)
 
アカクラゲ(赤海月,赤水母,英名:Japanese sea nettle)
Chrysaora pacifica (Goette, 1886)
 
動物界(Kingdom Animalia),ヒドラ亜界(Subkingdom Hydrobiotina),刺胞動物門(Phylum Cnidaria),鉢虫綱(Class Scyphozoa),旗口クラゲ目(Order Semaeostomeae),オキクラゲ科(Family Pelagiidae),ヤナギクラゲ属(Genus Chrysaora
 
アカクラゲ Chrysaora pacifica
 
アカクラゲ Chrysaora pacifica
 
アカクラゲ Chrysaora pacifica
撮影地:千葉県 千葉市 中央区 中央港 千葉ポートパーク;撮影日:2014年4月5日;撮影者:鈴木雅大
 
アカクラゲ Chrysaora pacifica
 
撮影地:香川県 高松市 庵治町 竹居観音岬;撮影日:2021年4月15日;撮影者:鈴木雅大
 
強い刺胞毒を持つクラゲです。磯採集や潮干狩りなどで良く見かけるクラゲなので注意が必要です。おそらくミズクラゲ(Aurelia auritaと同じくらい良く見かけるクラゲだと思います。ミズクラゲは刺胞毒が弱いので素手で触っても全く問題になりませんが,アカクラゲとなるとそうはいきません。著者は本種があまりにも普通に見られるのですっかり慣れてしまい,見かけても特に何の対策もせずに海に入っていたのですが,同業者の方々から「アカクラゲを甘くみるな!」とお叱りを受け,刺されて丸一日船の上で動けないでいたなどのエピソードを聞かされました。危険な生物だということを改めて認識しました。

本種はこれまで寒帯域に分布するChrysaora melanasterという種と同種と考えられてきましたが,Morandini & Marques (2010) はアカクラゲとC. melanasterを別種として区別しました。Chrysaora melanasterは,日本沿岸で見つかる機会は少ないものの,北海道東岸などに漂着することがあるそうです。

 
アカクラゲ Chrysaora pacifica
撮影地:兵庫県 淡路市 大磯沖(淡路島);撮影日:2017年6月14日;撮影者:鈴木雅大
 
乗船実習中,ふと気が付くと船の周りにアカクラゲとミズクラゲ(Aurelia auritaが大量に漂っていることがあります。風向きや潮流などの影響で集まってきたようです。この翌日,一人で磯採集に出かけたところアカクラゲが磯に大量に打ち寄せておりました。良い気分はしませんでしたが,胴長を履いていたので気にせず海藻を採集しました。採集中,腕がピリッとすることが何度かあってヒヤリとしましたが,幸い痛みや痒みはなく,怪我なく採集を終えました。とはいえ,学生や生徒を連れていなくて良かったと思います。採集時の安全対策について改めて考えさせられました。
 
アカクラゲ Chrysaora pacifica
 
撮影地:兵庫県 淡路市 大磯沖(淡路島);撮影日:2019年4月14日;撮影者:鈴木雅大
 
参考文献
 
今原幸光 編著. 2023. 新 写真でわかる磯の生き物図鑑. 286 pp. 海文堂,東京.
 
岩国市立ミクロ生物館 監修.2013. 日本の海産プランクトン図鑑 [第2版].268 pp. 共立出版,東京.
 
Morandini, A.C. and Marques, A.C. 2010. Revision of the genus Chrysaora Péron & Lesueur, 1810 (Cnidaria: Scyphozoa) Zootaxa 2464: 1–97.
 
NPO法人 武蔵野自然塾 編.2017. 危険生物ファーストエイドハンドブック 海編.96 pp. 文一総合出版,東京.
 
篠永 哲・野口玉雄 2013. フィールドベスト図鑑 vol.17. 危険・有毒生物.256 pp. 学研教育出版,東京.
 
WoRMS 2013. Chrysaora pacifica (Goette, 1836). Accessed through: World Register of Marine Species at http://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=291320 on 2014-04-06.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ オピストコンタ動物界ヒドラ亜界鉢虫綱旗口クラゲ目
 
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