Volvox carteri f. nagariensis
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年1月29日
 
Volvox carteri f. nagariensis M.O.P. Iyengar 1933: 371. Figs 7A, 8F. Pl. 28, Fig. 18.
 
緑藻植物門(Phylum Chlorophyta),緑藻綱(Class Chlorophyceae),オオヒゲマワリ(ボルボックス)目(Order Volvocales),オオヒゲマワリ(ボルボックス)科(Family Volvocaceae),オオヒゲマワリ(ボルボックス)属(Genus Volvox),メリロスファエラ節(Section Merrillosphaera
 
Type locality: River Nagari near Tirupati, South India.
 
Volvox carteri f. nagariensis
撮影地:東京大学 野崎研から培養株を教育用に頂いたもの;撮影日:2010年5月30日;撮影者:鈴木雅大
 
Volvox carteri f. nagariensis
16個のゴニディアを確認出来ます。
 
Volvox carteri f. nagariensis
親ボルから放出される直前の子ボル
         
  Volvox carteri f. nagariensis   Volvox carteri f. nagariensis  
「微細藻類」ではありますが,ボルボックスの仲間は大きく,肉眼でも識別可能です。
 
コナミドリムシ(クラミドモナス)(Chlamydomonas reinhardtii)と並ぶ,緑藻のモデル生物です。肉眼でも確認出来ることや,比較的知名度が高いこともあってか,微細藻類の中でも飛び抜けて高い人気を誇る生き物です。本種はの6つの品種(forma)に分けられており,その内の1品種 f. nagariensisの全ゲノム配列が解読され,培養系も確立されています。「オオヒゲマワリ(ボルボックス)」と言えば本種及び本品種を指すことが多いのですが,属としてのオオヒゲマワリ(ボルボックス)属(Volvox)は多系統群で,本種はオオヒゲマワリ(ボルボックス)属のタイプ種を含む"真の"オオヒゲマワリ(ボルボックス)属(オオヒゲマワリ節 Section Volvox)とは系統的に離れています。Volvox globatorのような"真の"オオヒゲマワリ(ボルボックス)属と考えられる種では,体細胞同士に太い細胞質連絡が見られますが,本種では体細胞間で顕著な細胞質連絡が見られません。形態的にも系統的にも別の属として分けるのが妥当なのですが,本種がオオヒゲマワリ(ボルボックス)属の代表としてあまりにも定着しているためか,これまで議論されたことはあっても,分類学的な検討・変更が成されたことはありません。
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 29 January 2011.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ緑色植物亜界緑藻植物門緑藻綱
 
「生きもの好きの語る自然誌」のトップに戻る