| ヒトエグサの分類と混乱 |
| 執筆:鈴木雅大 作成日:2022年12月10日(2026年4月5日更新) |
| 緑藻ヒトエグサは,Monostroma nitidumに充てられています。かつては,内湾部で大型になるものをヒロハノヒトエグサ(M. latissimum)と呼んで区別していましたが,吉田(1998)は,ヒロハノヒトエグサ(M. latissimum)をヒトエグサ(M. nitidum)のシノニム(異名)としました。Bast (2015) は,三重県 松阪市で養殖されている「ヒトエグサ」について,遺伝子解析を行い,「ヒトエグサ」を新種 M. kuroshienseとすることを提唱しました。Silva et al. (2022a) は,Bast (2015) が登録した遺伝子配列を基に,M. kuroshienseをヒトエグサ属(Monostroma)からマキヒトエグサ属(Gayralia)に移しました。Horinouchi & Niwa (2026)は,千葉県館山で「ヒトエグサ」と呼ばれていたサンプルを新種G. orientalisとして記載しました。このため「ヒトエグサ」は,G. orientalisあるいは,G. kuroshiensisの2種を含む可能性があります。
「ヒトエグサ」の分類が混乱している理由は2つあり,一つ目は,日本及び北太平洋西岸に分布する「ヒトエグサ」が1種類なのか複数の種類を含むのかが不明瞭な点,もう一つはM. nitidum,M. latissimumという種類の実体が分からないという点です。Bast (2015) は,M. kuroshienseを記載したものの,分類学的な検討,議論が出来ておらず,命名法上の問題もあり(後述),「ヒトエグサ」の分類について参考にすることが出来ませんでした。Silva et al. (2022a)は,Gayralia kuroshiensisの新組み合わせを発表する際に,Bast (2015) の問題点と,M. nitidumとM. latissimumを巡る分類学的問題について議論しており,著者もようやく理解することが出来ました。また,Cui et al. (2022)は,中国南シナ海沿岸に分布するヒトエグサ類について多くのサンプルを解析しており,Andiska et al. (2023)は,韓国で"M. nitidum"とされてきたサンプルをG. kuroshiensisとしています。このようにGayralia属を扱う研究が増えてきたことから,北太平洋西岸における「ヒトエグサ」の状況が少しずつ見えてきたように思います。未だ結論を出すには尚早と考えられますが,「ヒトエグサ」の分類の現状について分かったことをまとめてみました。 |
| 「ヒトエグサ」に相当する,あるいは相当する可能性がある種類 |
| 1. Monostroma nitidum Wittrock |
現在,ヒトエグサの学名として用いられている種類です。タイプ産地の候補として,トンガ(フレンドリー諸島),オーストラリア,中国の3ヵ所が挙げられますが,トンガと中国の2ヵ所とする文献もあります(South & Skelton 2003)。タイプ標本はストックホルムの自然歴史博物館(Swedish Museum of Natural History)に収蔵されていると考えられ,自然歴史博物館のデータベースを検索したところ,トンガ産のsyntype (A2929)がヒットしました。他のsyntypeの情報はないのですが,A2929が確かであれば,これをレクトタイプとして指定することで,トンガがタイプ産地となる可能性があります。 |
| 2. Monostroma latissimum Wittrock |
| ヒロハノヒトエグサの学名として用いられている種類で,日本ではM. nitidumのシノニム(異名)として扱われています。タイプ産地の候補としては,ヨーロッパ,北アメリカ,ニュージーランドが挙げられています。タイプ標本は,M. nitidumと同様に自然歴史博物館に収蔵されている可能性が高いと思いますが,自然歴史博物館のデータベースでは,ヒットしませんでした。ただし,M. grevilleiとされているもののいくつかの「Determinations」の項目に,M. latissimumと書かれており,その内のいくつかは,原記載(Wittrock 1866)の記載の中に挙げられている標本と地名や採集者と一致していました。もしかするとM. grevilleiの標本の中に,M. latissimumのsyntypeに相当するものがあるのかもしれません。 |
| 3. Porphyra crispata Kjellman |
| かつて紅藻アマノリ類のツクシアマノリ(現 Pyropia acanthophora)と考えられていた種類です。タイプ標本の調査の結果,アマノリ類ではなく,ヒトエグサであることが指摘され,現在はM. nitidumのシノニム(異名)とされています。タイプ産地は長崎県五島列島で,黒木・山田(1986)によるとタイプ標本は自然歴史博物館にあるはずですが,データベースではヒットしませんでした。 |
| 4. Gayralia kuroshiensis (Bast) S.L.A.Silva, Brito, S.M.B.Pereira, Gama & Cassano |
| 三重県 松阪市で養殖されている「ヒトエグサ」で,Bast (2015)によって記載された後,Silva et al. (2022)によってマキヒトエグサ属(Gayralia)に移されました。Terada et al. (2025)によると,福島県松川浦などで「ヒロハノヒトエグサ」と呼ばれているサンプルは,G. kuroshiensisに相当します。 |
| 5. Gayralia orientalis Horinouchi & Niwa |
| Horinouchi & Niwa (2026)が千葉県館山で記載した新種です。Terada et al. (2025)がGayralia sp. としたサンプルや,Cui et al. (2022)が"Monostorma sp."として掲載したサンプルなどがG. orientalisと考えられ,千葉県館山以外だと鹿児島県,小笠原諸島父島,沖縄県に分布していると考えられます。 |
| ここに挙げた5種が「ヒトエグサ」あるいは「ヒロハノヒトエグサ」の候補です。ITS領域が決定・公開されているものは,Gayralia kuroshiensisとGayralia orientalisで,日本には少なくとも2種のGayralia属が生育していると考えられます。Gayralia kuroshiensisとGayralia orientalisを「ヒトエグサ」あるいは「ヒロハノヒトエグサ」ということにしてしまえば良さそうですが,これまで用いられてきたM. nitidumとM. latissimumをどのように扱えば良いのかを検討する必要があります。 |
| Monostroma nitidum,M. latissimum,Porphyra crispataの実体 |
| Monostroma nitidumとM. latissimumは,いずれも複数のタイプ産地が挙げられています。複数のタイプ産地が候補として挙げられる場合,各タイプ産地で採集したサンプルを観察,解析する必要がありますが,M. nitidumとM. latissimumのタイプ産地はいずれも広範囲に及んでおり,真のM. nitidumとM. latissimumを判断するのは,容易ではないと思われます。Monostroma nitidumにおいては,データベースによるとトンガ産のsyntypeがあるそうなので,レクトタイプを指定することでタイプ産地はトンガとなる可能性があります。Monostroma latissimumは,データベースでヒットしなかったものの,M. grevilleiとされているもののいくつかの「Determinations」の項目に,M. latissimumがあるので,その内のどれかは,M. latissimumのsyntypeなのかもしれません。現在M. nitidumのシノニムとされているPorphyra crispataも「ヒトエグサ」の候補の一つではあります。日本で記載された種類なので,五島列島のヒトエグサの観察・遺伝子解析をもとに"Gayralia crispata"という新組合せを提唱することも可能ではあります。ただし,"G. crispata"がM. nitidumとは別種であるという根拠を示す必要があり,結局のところ真のM. nitidumとM. latissimumを特定するところに戻ってきてしまいます。
"M. nitidum"として公開されているITS領域の配列は,中国防城区(AF415170)と韓国(AY026917)の2つで,AF415170は,Gayralia属のクレードに含まれますが,他に近似する配列はありません。AY026917は,Monostroma属のクレードに含まれ,中国産のM. grevillei var. arcticumの配列と近似しました。Silva et al. (2022a)は,AY026917をオーストラリア産であるとし,AY026917を暫定的に真のM. nitidumとして扱いましたが,Woolcott et al. (2000) は,「M. nitidumを韓国で採集した」と述べているので,AY026917は韓国産と考えられます。このため,AY026917はM. nitidumではなく,M. grevillei var. arcticumの誤同定という可能性が高く,真のM. nitidumと判断出来るサンプルは未だ揃っていないと考えられます。Monostroma latissimumについては,四万十川産のEU664979が唯一のため,真のM. latissimumと判断出来るサンプルはありませんでした。 |
| 「ヒトエグサ」と「ヒロハノヒトエグサ」の今後 |
| 先述の通り,Monostroma nitidumとM. latissimumは現時点で実体不明種となっています。Monostroma nitidumについては,自然歴史博物館のsyntypeをレクトタイプとして指定し,トンガで採集するという解決方法がありますが,M. latissimumについては,自然歴史博物館でタイプ標本を探し出し,標本の欠片を遺伝子解析するのがほぼ唯一の解決手段かもしれません。しかし,タイプ標本を特定できたとしても,タイプ標本の欠片を入手するための手続きに加え,遺伝子解析が成功するという保証もないため,かなり厳しいかもしれません。トンガで採集するというのも決して簡単なことではないと思います。今すぐに出来ることとしては,日本各地に生育する「ヒトエグサ」と「ヒロハノヒトエグサ」について,しっかりとした形態観察と遺伝子解析を実施し,日本には何種類生育し,各地域にどのような種が分布するかを明らかにすることではないかと思います。
「ヒトエグサ」がGayralia属でなければ問題はここまで複雑ではなかったかもしれません(注)。形態的特徴,遺伝子解析,分布情報に基づき,暫定的にでも"M. nitidum", "M. latissimum"を決めてしまうことも出来たかもしれないのですが,"M. nitidum", "M. latissimum"を決めたとしても,暫定的に同定したものをGayralia属に組み替えることは難しいと思いますし,分類学者として推奨出来ません。「ヒトエグサ」を実体不明のまま"M. nitidum","M. latissimum"としておくよりは,M. nitidumとM. latissimumの分類学的検討を保留し,分類学的問題が解決するまでの暫定的な処置として新種を記載した方が良いのかもしれません。そういった意味では,分類学的な問題は多々あるものの,G. kuroshiensisは実体のある種として活かした方が将来的には有効ではないかと思うようになりました。本サイトでは,熟考の末,G. kuroshiensisを日本産種として掲載することにしました。 注.Cui et al. (2022) は,Gayralia属をMonostroma属に含めることを提唱していますが,遺伝子解析において内群にGayralia属とMonostroma属しか用いていないため,属の所属について議論することは出来ません。Wetherbee & Verbruggen (2016)によれば,Monostroma属とGayralia属はそれぞれ独立の属であると考えられるため,Cui et al. (2022) の見解は誤りであると考えられます。 2025年以降,「ヒトエグサ」と「ヒロハノヒトエグサ」について遺伝子解析と形態観察を実施した論文が出版されました。Terada et al. (2025)は,福島県,千葉県,鹿児島県,小笠原諸島父島,沖縄県で採集した「ヒトエグサ/ヒロハノヒトエグサ」の遺伝子解析を行い,G. kuroshiensisとGayralia sp. (= G. orientalis)の2つの種に分けられる可能性を示しました。Horinouchi & Niwa (2026)は,千葉県館山の「ヒトエグサ」について詳細な形態観察と発生や体形成様式の観察,遺伝子解析を行い,新種G. orientalisを記載しました。この内,G. kuroshiensisが「ヒロハノヒトエグサ」,G. orientalisが「ヒトエグサ」に相当する可能性が高いのですが,Terada et al. (2025)とHorinouchi & Niwa (2026)は,いずれも日本でヒトエグサ(M. nitidum)あるいはヒロハノヒトエグサ(M. latissimum)と呼ばれてきた種と,G. kuroshiensisあるいはG. orientalisとの関係についての結論を保留したため,問題解決には至りませんでした。Terada et al. (2025)において,形態的特徴やヒトエグサ,ヒロハノヒトエグサとの関係についての議論を避けたことで,分類学的問題があやふやなまま残ってしまったことは,共著者である著者にとって大きな後悔となりました…。現時点ではヒトエグサはM. nitidumのまま変わりなく,ヒロハノヒトエグサ(M. latissimum)も従来通りヒトエグサの異名同種(シノニム)として扱われます。一部では,G. kuroshiensisを「ヒロハノヒトエグサ」と呼称する文献もありますが(Koja et al. 2026),分類学的問題が解決するまでは,G. kuroshiensisとG. orientalisに和名は付けず,ヒトエグサ(M. nitidum),ヒロハノヒトエグサ(M. latissimum)とは別種として扱うのが適当と考えられます。このため,便宜的に学名及び和名を用いる必要がある時は,その個体群の産地を明記し,日本全土の標準的な名称として用いられることがないよう注意する必要があります(例.G. kuroshiensis(福島県松川浦産のヒロハノヒトエグサ)など)。 Terada et al. (2025)とHorinouchi & Niwa (2026)がどちらも結論を保留したことから,ヒトエグサ/ヒロハノヒトエグサの問題の解決としては以下の2つの方法が考えられます。 |
| 1. Monostroma nitidumとM. latissimumのタイプ標本の遺伝子解析 |
| Monostroma nitidumとM. latissimumのタイプ標本の所在は不確定ながら明らかとなっていることから,この2種のタイプ標本,可能であればPorphyra crispataのタイプ標本を遺伝子解析することが最も確実です。ただし,タイプ標本の遺伝子解析は,タイプ標本からDNAを抽出する上で,博物館と交渉が必要であり,標本からのDNA抽出等の実績が問われます。また,100年近く前に作られた標本の解析には次世代シーケンサーを用いるのが望ましく,技術的な壁もあります。 |
| 2. 日本各地でヒトエグサ類を採集し,観察・解析する |
| 現在の分類学的研究として最もオーソドックスな手段ですが,日本各地から「ヒトエグサ」あるいは「ヒロハノヒトエグサ」と呼ばれているサンプルを蒐集し,形態観察,培養実験,遺伝子解析を行います。日本で「ヒトエグサ」あるいは「ヒロハノヒトエグサ」と呼ばれている種が,Gayralia orientalisとG. kuroshiensisの2種であるという確証を得た上で,Monostroma nitidum及びM. latissimumは,実体が分からないことから暫定的にG. orientalisとG. kuroshiensisのいずれかのmisappllied nameとするというシナリオです。 |
| 著者はヒトエグサ類の分類にこれ以上関わりたくないというのが本音ではありますが,誰かに勧めるとすれば,リスクの高いタイプ標本の解析よりは,日本各地のヒトエグサ類を観察・解析する方が現実的ではないかと思います。 |
| Bast (2015) の命名上の問題点 |
| 最後に,Bast (2015) の命名法上の問題点について触れておきます。Algaebaseが誤りを訂正している他,Ulvopsis属の扱いの問題などについてSilva et al. (2022a)が指摘しているので,混乱はないと思いますが,今後,G. kuroshiensisの使用が増えてくるかもしれないので,間違いが起きないようここに紹介しておきたいと思います。 |
| 1. "Monostroma kuroshiensis (Yendo) F. Bast nom. nov."の命名法上の扱い |
| Bast (2015)は,同定の誤りである"Monostroma latissimum sensu Yendo"を基礎異名とし,新名(nomen novum)を提唱しました。同定の誤りは基礎異名には成り得ないので,誤った発表です。ただし,記載文とタイプの情報を記述しているので,新種としての記載要件は満たしており,引用及び著者名の誤りは自動的に訂正され,"Monostroma kuroshiense F. Bast sp. nov."として正式発表されたことになります。 |
| 2. "Monostroma kuroshiense"の種小名の綴り |
| Bast (2015)は,種小名を"kuroshiensis"としました。Monostroma属の性は中性なので,"kuroshiense"が正しい綴りとなり,Algaebaseにおいても"kuroshiense"に訂正して掲載されています。また,黒潮に因んで作った名前であれば"kuroshioense"が正しい綴りと考えられます。語尾変化の誤りは自動的に訂正して構わないのですが,国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)マドリッド規約(2025)の第60.9条は,人名あるいは地名に因んだ学名の綴りについて,「著者による綴りの変更が意図的ならば(注),その変更は保持されなければならない」としています。人名に由来する学名の綴りについては条件付きで訂正可能とも書かれているのですが,地名等に由来する場合は特に規定がないため,"kuroshiense"を"kuroshioense"に訂正することは出来ないと考えられます。
注.2015年3月,著者はBast氏から,「"kuroshiensis"として記載したので,Algaebase及び貴サイトで掲載している"kuroshiense"は誤植である」との指摘を受けました。属名の性に対応した種形容語の語尾変化を知らなかったようです。著者は,"kuroshiense"に訂正することが命名法上妥当であることと,"Kuroshioense"が正しい綴りであることをBast氏に伝えましたが,その後返信及び訂正等の反応がないので"kuroshiense"は意図的なものになるようです。 |
| 3. Ulvopsis属の再評価 |
| Bast (2015) はMonostroma属のタイプ種は,M. bullosumではなく,Papenfuss (1960) が選定したマキヒトエ(M. oxyspermum(現 Gayralia oxysperma))であるとしました。Bast (2015) は,Monostroma属のシノニム(異名)とされていたUlvopsis属を再評価し,系統解析においてM. oxyspermumとは異なるクレードとなるM. bullosum, ウスヒトエグサ(M. grevillei)やエゾヒトエグサ(M. angicava)などをUlvopsis属としました。
Monostroma属のタイプ種を巡っては,過去に論争があり(Papenfuss 1960; Bliding 1969; Christensen 1975),Silva et al. (1996) が解説しています。詳細は省きますが,結論としては,Preiffer (1874) がM. bullosumをMonostroma属のタイプ種として既に指定していたため,Papenfuss (1960) は無効であることが判明し,決着をみました。その後,M. oxyspermumはMonostroma属からGayralia属に移され,Gayralia属のタイプ種となりました(Vinogradova 1969; Scagel et al. 1989)。Bast (2015) はこの経緯を知らなかったようです。Ulvopsis属は,これまで通りMonostroma属のシノニム(異名)として扱われています。 |
| この他,不必要な"comb. nov."が散見する,Holotypeとは思えない生態写真(Fig. 7),生態写真以外の図(縮尺の入った外形,表面観,横断面など)がない,不必要な系統樹の数々,M. kuroshienseを記載するに当たり,M. nitidum, M. latissimumとの関係についてほとんど議論していないなど,分類学的な論文としては,失礼ながら「ひどい」と言わざるを得ません。不備は多々ありますが,命名規約の勧告に反する箇所はあっても,条文に反するものはないので,正式発表された種として認められるのではないかと思います。業腹というのが正直な気持ちではありますが,本サイトではG. kuroshiensisが「ヒトエグサ」の種名の候補になる可能性を踏まえ,G. kuroshiensisを掲載しました。 |
| 余談.上述の通り,Bast (2015) は,分類学的な論文としてあまりにもひどく,著者が初めて「無視しようとした」論文です。結局無視は出来ず,2022年まではリストには加えないものの,ヒトエグサの注釈としての形で掲載していました。著者は日本産海藻リストを編纂する上で,論文として出版された種は,リストに名前だけ挙げられたような種を除き,問題のある種であっても注釈を付けて掲載しています。Bast (2015) は,著者としては看過できないほどの不備があり,日本産海藻リストへの掲載を躊躇していたのですが,Silva et al. (2022a, b)がG. kuroshiensisを採用したことから掲載せざるを得なくなりました。なお,Gayralia kuroshiensis は,Silva et al. (2022a)における新組合せの発表において,基礎異名の引用に不備があり,Silva et al. (2022b)によって正式発表となりました。新組合せにおいてまで,分類学的な不備を生じるなど,曰くつきな種類のようです。新組合せの問題はともかく,今後,このような種類が記載されないことを切に願う次第です。 |
| 参考文献 |
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