ナガマツモ Chordaria flagelliformis |
作成者:鈴木 雅大 作成日:2019年8月4日 |
ナガマツモ(長松藻) |
Chordaria flagelliformis (O.F.Müller) C.Agardh 1817: xii, 12. |
不等毛植物門(Phylum Heterokontophyta),クリシスタ(Chrysista),褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ亜綱(Subclass Fucophycidae),シオミドロ目(Order Ectocarpales),ナガマツモ科(Family Chordariaceae),ナガマツモ属(Genus Chordaria) |
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),ナガマツモ目(Order Chordariales),ナガマツモ科(Family Chordariaceae),ナガマツモ属(Genus Chordaria) |
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),ナガマツモ目(Order Chordariales),ナガマツモ科(Family Chordariaceae),ナガマツモ属(Genus Chordaria) |
掲載情報 |
岡村 1902: 124; 1912: 140. Pl. 90; 1936: 196. Fig. 103; Inagaki 1958: 153. Fig. 57; 川井 1993: 18, 19. Fig.. 9; 吉田 1998: 239-240. Pl. 2-14, Figs C, D. |
Basionym |
Fucus flagelliformis O.F.Müller 1775: 7. Pl. 650. |
Heterotypic synonym |
複数の異名(シノニム)が知られています(Algaebase参照)。 |
Type locality: Oc. Norvegico (= Norway). |
Type specimen: |
採集地:北海道 網走 二つ岩;採集日:2018年7月12日;撮影者:鈴木雅大 |
押し葉標本(採集地:北海道 網走 二つ岩;採集日:2018年7月12日) |
著者は温帯域をフィールドとしており,北海道の亜寒帯域にはほとんど採集に訪れたことがありません。本種はナガマツモ科(Chordariaceae)やかつてのナガマツモ目(Chordariales)の名前を冠し,道東では普通種として知られているのですが,著者にとってはまだ見たことのない海藻の1つでした。ラボの上司が北海道網走で採集してきたというサンプルを物欲しそうに眺めていたところ「余った分は持って行っていいよ」と言われ,大喜びで頂いてきたのがこのサンプルです。初めて見たナガマツモは,モズク類とは思えないほど固く,粘質も無い感じで,著者の抱いていたイメージとは大きく異なるものでした。しかし,押し葉標本を作製し,乾いた標本からサラシ布をはがそうとした際,サラシ布が藻体にがっちり貼り付く様子はまさにモズク類といったところで,老成して棒のようになったクロモ(Papenfussiella kuromo)のようでした(注)。
注.新日本海藻誌(吉田忠生 著)では「乾燥するとき紙にあまり付着しない」と書かれています。著者は押し葉標本を作る際に障子糊を水に溶かしたものを使っているので紙にガッチリ貼り付いたと思われますが,それにしても紙に付着不十分という程ではないと思いました。 |
参考文献 |
Agardh, C.A. 1817. Synopsis algarum Scandinaviae, adjecta dispositione universali algarum. 135 pp. Ex officina Berlingiana, Lundae. |
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2019. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 4 August 2019. |
Inagaki, K. 1958. A systematic study of the order Chordariales from Japan and its vicinity. Scientific Papers of the Institute of Algological Research, Faculty of Science, Hokkaido Imperial University 4: 87-197. |
川井浩史 1993. Chordaria flagelliformis (Müller) C. Agardh(ナガマツモ).In: 堀 輝三(編) 藻類の生活史集成 第2巻 褐藻・紅藻類.pp. 18, 19. 内田老鶴圃,東京. |
Kylin, H. 1940. Die Phaeophyceenordnung Chordariales. Acta Universitatis Lundensis 36: 1-67. |
岡村金太郎 1902. 日本藻類名彙.276 pp. 敬業社,東京. |
岡村金太郎 1912. 日本藻類圖譜 第2巻 第8集.東京.*自費出版 |
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌.964 pp. 内田老鶴圃,東京. |
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京. |
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189. |
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