アツバコモングサ Spatoglossum crassum |
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作成者:鈴木雅大 作成日:2011年6月22日(2021年4月17日更新) |
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アツバコモングサ(厚葉小紋草) |
Spatoglossum crassum Ji.Tanaka 1991: 574. Figs 1-14. |
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不等毛植物門(Phylum Heterokontophyta),褐藻綱(Class Phaeophyceae),アミジグサ亜綱(Subclass Dictyotophycidae),アミジグサ目(Order Dictyotales),アミジグサ科(Family Dictyotaceae),シマオウギ連(Tribe Zonarieae),モンナシグサ属(Genus Spatoglossum) |
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*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),アミジグサ目(Order Dictyotales),アミジグサ科(Family Dictyotaceae),コモングサ属(Genus Spatoglossum) |
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),アミジグサ目(Order Dictyotales),アミジグサ科(Family Dictyotaceae),モンナシグサ属(Genus Spatoglossum) |
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掲載情報 |
吉田・田中 1998: 229. Pl. 2-12, Fig. B; Hwang et al. 2004: 192-198. Figs 3-6. |
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Misapplied name |
ホソバコモングサ Spatoglossum variabile auct. non Figari & De Notaris (1853: 153. Fig. 4): Yendo 1916: 49; 岡村 1936: 170. |
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Type locality: 静岡県 下田市 須崎 |
Holotype specimen: TNS-AL 39590(国立科学博物館 植物研究部 標本庫) |
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撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2015年5月7日;撮影者:鈴木雅大 |
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撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2017年6月23日;撮影者:鈴木雅大 |
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撮影地:兵庫県 南あわじ市 津井 おじんば磯(淡路島);撮影日:2021年4月15日;撮影者:鈴木雅大 |
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撮影地:新潟県 佐渡市 小木 矢島・経島;撮影日:2017年4月27日;撮影者:鈴木雅大 |
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撮影地:静岡県 下田市 須崎 恵比須島;撮影日:2017年5月28日;撮影者:鈴木雅大 |
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撮影地:静岡県 下田市 白浜海岸;撮影日:2017年5月28日;撮影者:鈴木雅大 |
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押し葉標本(採集地:静岡県 下田市 須崎 恵比須島;採集日:2005年5月9日;採集者:鈴木雅大) |
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押し葉標本(採集地:静岡県 下田市 白浜海岸;採集日:2005年5月9日;採集者:鈴木雅大) |
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押し葉標本(採集地:千葉県 安房郡 白浜町 根本(現 南房総市 根本);採集日:2005年4月26日;採集者:鈴木雅大) |
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押し葉標本(採集地:茨城県 日立市 川尻町;採集日:2001年5月26日;採集者:鈴木雅大) |
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体の横断面 |
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体の横断面のスケッチ(採集地:新潟県 佐渡郡 小木町 矢島・経島;採集日:2001年4月27日) |
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アツバコモングサ(Spatoglossum crassum)は,日本産モンナシグサ属(Spatoglossum)の中では最も普通にみられる種だと思います。本種は生育地によって葉片の幅などが大きく変化します。タイプ産地である静岡県下田市須崎や茨城県日立市など,波の良く当たる磯に生育している個体は葉が細くなる傾向が強いのですが,下田市白浜海岸や千葉県南房総市白浜町など,砂がかかる平らな磯に生育する個体は葉の幅が広くなる傾向があります。著者の個人的な見解ですが,タイプ産地である下田市須崎は,一度荒れればとても近寄れない程,波当たりの強いところで,幅の狭い形態や生育状況が他の場所とかなり異なっている印象を受けます。現在アツバコモングサと呼んでいるものは,複数種を混同したものかもしれません。日本で報告されているモンナシグサ属(Spatoglossum)は,アツバコモングサ(S. crassum),ヒロハコモングサ(S. latum),モンナシグサ(S. asperum),ゴアンメ(S. mageshimense)の4種類ですが,著者は未だヒロハコモングサ,モンナシグサと思われる種類に出会ったことがありません。著者は一時期,葉が薄くて幅が広くなる傾向のあるものをヒロハコモングサと呼んでいたことがありますが,遺伝子解析によると広義のアツバコモングサと区別できないことが判明したため同定を改めました。真のヒロハコモングサは,葉が顕著に幅広くなり,水深5 m以深の比較的深所に生育していると思われます。モンナシグサとゴアンメは,体の縁辺に鋸歯を持ちます。結局のところ,日本産モンナシグサ属(Spatoglossum)のいずれも種を正しく認識出来ていないことから,日本産モンナシグサ属4種について改めて分類学的検討が必要だろうと思います。 |
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参考文献 |
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Figari, A. and De Notaris, G. 1853. Nuovi materiali per l'algologia del mar Rosso. Memorie della Reale Accademia delle Scienze di Torino Ser. 2, 13 (Cl. Sc. Fis. e Mat.): 133-169. *文献未確認 |
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Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 22 June 2011. |
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Hwang, I.-K., Kim, H.-S. and Lee, W.J. 2004. Morphological characteristics of brown alga Spatoglossum crassum Tanaka (Dictyotaceae, Dictyotales), new to Korea. Algae 19: 191-199. |
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岡村金太郎 1936. 日本海藻誌.964 pp. 内田老鶴圃,東京. |
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Tanaka, J. 1991. A new species of Spatoglossum (S. crassum sp. nov.; Dictyotales, Phaeophyceae) from Japan. Phycologia 30: 574-581. |
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Yendo, K. 1916. Notes on algae new to Japan. IV. Botanical Magazine, Tokyo 30: 47-65. |
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吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189. |
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吉田忠生・田中次郎 1998. 2.5 あみじぐさ目 Dictyotales. In: 吉田忠生 著.新日本海藻誌.pp. 205-234. 内田老鶴圃,東京. |
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