Trachelomonas robusta
 
作成者:鈴木雅大 作成:2010年10月26日(2015年9月7日更新)
 
Trachelomonas robusta Svirenko, 1914: 636. Pl. 19, Fig. 17.
 
ミドリムシ(ユーグレナ)門(Phylum Euglenozoa),ミドリムシ(ユーグレナ)綱(Class Euglenophyceae),ミドリムシ(ユーグレナ)目(Order Euglenida),ミドリムシ(ユーグレナ)科(Family Euglenaceae),カラヒゲムシ(トラケロモナス)属(Genus Trachelomonas
 
  Trachelomonas robusta   Trachelomonas robusta  
 
2005年春,大学キャンパスの50 cm×80 cm程度の小さな人工池が赤褐色に染まっているのを見つけました。顕微鏡で観察したところ赤い殻を持った小さな単細胞生物がブルーム(大量発生)を起こしたものだと分かり,調べたところミドリムシ(ユーグレナ)の仲間の一種,カラヒゲムシ(トラケロモナス,Trachelomonas robusta)である事が分かりました。小さな池なので絶えてしまうのではと心配でしたが,著者が大学に通っていた2010年まで毎年春になるとブルームを見せてくれていました。
 
Trachelomonas robusta
 
採集地:千葉県 船橋市 三山 東邦大学 習志野キャンパス;採集日:2010年4月11日;撮影者:鈴木雅大
 
ロリカと呼ばれる殻に包まれ,一見するとミドリムシ(ユーグレナ)の仲間とは思えませんが,殻の中には緑色の葉緑体と赤い眼点を持つミドリムシ(ユーグレナ)様の細胞が入っていることが分かります。ロリカには鉄やマンガンが含まれているため赤褐色に見えます。ロリカが球形で,写真では分かりづらいのですが,殻の表面が短い棘で覆われていることからT. robustaと同定しました。細胞の前端に1本の鞭毛を持ち,クルクルと回転しながら素早く泳ぎます。
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2015. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 07 September 2015.
 
廣瀬弘幸・山岸高旺 1977.日本淡水藻図鑑.933 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
Svirenko, D 1914. Zur Kenntnis der russischen Algenflora, I. Die Euglenaceen Gattung Trachelomonas. Archiv für Hydrobiologie und Planktonkunde 9: 630-647.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ エクスカバータミドリムシ(ユーグレナ)目
 
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