スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年12月2日(2021年6月13日更新)
 
スジウスバノリ(筋薄葉海苔)
Acrosorium polyneurum Okamura 1936: 787.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イギス目(Order Ceramiales),コノハノリ科(Family Delesseriaceae),カシワバコノハノリ亜科(Subfamily Phycodryoideae),カクレスジ連(Tribe Cryptopleureae),ハイウスバノリ属(Genus Acrosorium
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),イギス目(Order Ceramiales),コノハノリ科(Family Delesseriaceae),ハイウスバノリ属(Genus Acrosorium
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),イギス目(Order Ceramiales),コノハノリ科(Family Delesseriaceae),ハイウスバノリ属(Genus Acrosorium
 
掲載情報
川嶋 1957: 72. Fig. 5; 三上 1974: 149. Figs 1-17; 吉田 1998: 959-960. Pl. 3-94, Fig. F; Nam & Kang 2012: 66-71. Figs 54-58.
 
Type locality: 千葉県 上総小浜(現 千葉県 いすみ市 大原)
Type specimen: SAP 60913(北海道大学大学院理学研究科植物標本庫)
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
撮影地:兵庫県 淡路市 野島江崎(淡路島);撮影者:2021年5月26日;撮影者:鈴木雅大
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
撮影地:新潟県 佐渡市 小木 矢島・経島(佐渡島);撮影者:2017年4月25日;撮影者:鈴木雅大
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
押し葉標本(採集地:新潟県 佐渡市 小木 矢島・経島(佐渡島);採集日:2017年4月25日;採集者:鈴木雅大)
 
新潟県佐渡島で採集したスジウスバノリです。体に明瞭な筋がほとんど見られず,スジウスバノリとして良いか悩みましたが,遺伝子解析の結果,スジウスバノリであることが示唆されました。
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
押し葉標本(採集地:千葉県 いすみ市 大原 丹ヶ浦;採集日:2016年4月27日;採集者:鈴木雅大)
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
押し葉標本(採集地:千葉県 銚子市 外川町;採集日:2005年3月9日;採集者:鈴木雅大)
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
押し葉標本(採集地:新潟県 佐渡郡 真野町 滝脇(現 佐渡市 滝脇);採集日:2003年2月28日;採集者:鈴木雅大)
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
 
スジウスバノリ Acrosorium polyneurum
押し葉標本(採集地:青森県 むつ市 大湊上町;採集日:2004年11月12日;採集者:鈴木雅大)
 
外形の変異の激しい種類のため,しばしば同定に悩まされます。複数の種類を混同しているのではないかとも考えていましたが,タイプ産地である千葉県大原のサンプルの遺伝子配列を基準として各地のサンプルの遺伝子解析を行ったところ,「スジウスバノリ」としたサンプルは基本的に遺伝子配列が近似していました。あくまでも著者の個人的な判断ですが,本サイトでは一部の例外を除き,潮間帯に生育し,体に明瞭な筋がみられるものは全て「スジウスバノリ」としています。

三上(1974)が指摘しているようにスジウスバノリはプロカルプ(一部の紅藻類にみられる特別な生殖構造)の構造がハイウスバノリ属(Acrosorium)とは異なっています。属が異なると考えられ,分類学的検討が必要です。

 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 2 December 2011.
 
川嶋昭二 1957. 東北地方産海藻雑記.藻類 5: 67-73.
 
三上日出夫 1974. スジウスバノリの性質について.藻類 22: 149-155.
 
Nam, K.W. and Kang, P.J. 2012. Algal flora of Korea. Volume 4, Number 7. Rhodophyta: Florideophyceae: Ceramiales: Delesseriaceae: 22 genera including Acrosorium. 129 pp. National Institute of Biological Resources, Ministry of Environment, Incheon.
 
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌.964 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ紅藻植物門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱イギス目コノハノリ科カシワバコノハノリ亜科
 
日本産海藻リスト紅藻植物門真正紅藻亜門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱イギス目コノハノリ科カシワバコノハノリ亜科カクレスジ連ハイウスバノリ属スジウスバノリ
 
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