| ヒライボ Lithophyllum okamurae |
| 作成者：鈴木雅大 作成日：2016年5月5日（2023年3月21日更新） |
| ヒライボ（平疣） |
| Lithophyllum okamurae Foslie 1900: 4. |
| 紅藻植物門（Phylum Rhodophyta），真正紅藻亜門（Subphylum Eurhodophytina），真正紅藻綱（Class Florideophyceae），サンゴモ亜綱（Subclass Corallinophycidae），サンゴモ目（Order Corallinales），イシゴロモ科（Family Lithophyllaceae），イシゴロモ亜科（Subfamily Lithophylloideae），イシゴロモ属（Genus Lithophyllum） |
| ＊吉田ら（2015）「日本産海藻目録（2015年改訂版）」における分類体系：紅藻綱（Class Rhodophyceae），サンゴモ目（Order Corallinales），サンゴモ科（Family Corallinaceae），イシゴロモ属（Genus Lithophyllum） |
| 掲載情報 |
| 岡村 1902: 99; 1916: 128; 1936: 512. Fig. 241; Kato et al. 2022: 121. Figs 4-24, S1-S4; 馬場・加藤 2023: 51-52. 第26, 27図, 付図4C. |
| Homotypic synonym |
| Lithophyllum okamurae f. japonicum Foslie 1901: 18. nom. inval. [非正式名] |
| Heterotypic synonym |
| モンシイシゴロモ Lithophyllum okamurae f. angulatum Foslie 1901: 18. |
| Type locality: 神奈川県 三浦市 三崎町 油壺. |
| Lectotype specimen: TRH A21-1318 (Norwegian University of Science and Technology) |
| 分類に関するメモ：Foslie (1901) は，ヒライボ（Lithphyllum okamurae）の品種としてf. angulatumとf. japonicumを記載しました。Foslie (1901) はf. japonicumをL. okamuraeのタイプとしましたが，これは国際藻類・菌類・植物命名規約（ICN）において非正式名（invalid name）であり，正しいタイプはf. okamuraeとなります。f. angulatumについては正式に発表された種とみなされると思いますが，現在，命名規約を確認中です。千原（1967）は，f. angulatumに「モンシイシゴロモ」という和名を付けました。馬場・加藤（2023）は，モンシイシゴロモ（Lithophyllum okamurae f. angulatum）をヒライボ（L. okamurae）の異名（シノニム）としました。
これまで「ヒライボ」と同定されてきたものは，Kato et al. (2022) が新種として記載したシンヒライボ（L. neo-okamurae）を混同している可能性があり，馬場・加藤（2023）によると，Masaki & Tokida (1963) とMasaki (1968) が報告した"Lithophyllum okamurae f. japonicum"と，馬場（1998, 2000），馬場ら（2020）が報告した"ヒライボ L. okamurae"は，シンヒライボ（L. neo-okamurae）に相当します。 |
| 広義のヒライボ（Lithophyllum okamurae ） |
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| 撮影地：新潟県 佐渡市 小木 矢島・経島（佐渡島）；撮影日：2017年4月25日；撮影者：鈴木雅大 |
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| 撮影地：兵庫県 豊岡市 竹野町 大浦湾；撮影日：2016年12月26日；撮影者：鈴木雅大 |
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| 乾燥標本（採集地：新潟県 佐渡郡 小木町 沢崎（現 佐渡市 沢崎）；採集日：2002年9月9日；採集者：鈴木雅大） |
| ヒライボ（Lithophyllum okamurae）は，無節サンゴモ類の中では比較的名前の付けやすい種類…と思っていた時期が著者にもありました。Kato et al. (2022)は，日本各地のヒライボについて遺伝子解析と形態観察を実施し，ヒライボに近似するL. neo-okamuraeという種を記載しました。ヒライボとは，形態が酷似する上に分布域が被っているため，おそらく専門家でないと同定は難しいのではないかと思います。正確に同定するには遺伝子解析が必要と考えられます。本サイトで掲載している"ヒライボ"もL. neo-okamuraeを含んでいる可能性があります。 |
| 参考文献 |
| 馬場将輔 2000. 日本産サンゴモ類の種類と形態．海洋生物環境研究所研究報告 1: 1-68. |
| 馬場将輔・菊地則雄・加藤亜記 2020. 千葉県勝浦市沿岸の無節サンゴモ相．海洋生物環境研究所研究報告 25: 1-40. |
| 千原光雄 1967. 静岡県産海藻目録. In: 静岡県生物研究会（編）静岡県植物誌. 静岡大学教育学部，静岡県． |
| Foslie, M. 1900. Five new calcareous algae. Det Kongelige Norske Videnskabers Selskabs Skrifter 1900 (3): 1-6. |
| Foslie, M. 1901. Den botaniske samling. Det Kongelige Norske Videnskabers Selskabs Skrifter 1900: 18. |
| Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2016. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 5 May 2016. |
| Kato, A., Basso, D., Caragnano, A., Rodondi, G., Le Gall, L., Peña, V., Hall-Spencer, J.M. and Baba, M. 2022. Morphological and molecular assessment of Lithophyllum okamurae with the description of L. neo-okamurae sp. nov. (Corallinales, Rhodophyta). Phycologia 61: 117-131. |
| Masaki, T. 1968. Studies on the Melobesioideae of Japan. Memoirs of the Faculty of Fisheries Hokkaido University 16: 1-80. |
| Masaki, T. & Tokida, J. 1963. Studies on the Melobesioideae of Japan, VI. Bulletin of the Faculty of Fisheries Hokkaido University 14: 1-6. |
| 岡村金太郎 1902. 日本藻類名彙．276 pp. 敬業社，東京． |
| 岡村金太郎 1916. 日本藻類名彙 第2版．362 pp. 成美堂，東京． |
| 岡村金太郎 1936. 日本海藻誌．964 pp. 内田老鶴圃，東京． |
| 吉田忠生・馬場将輔 1998. 3.8 さんごも目 Corallinales. In: 吉田忠生 著．新日本海藻誌．pp. 525-627. 内田老鶴圃，東京． |
| 吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録（2015年改訂版）．藻類 63: 129-189. |
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