カイガラアマノリ Pyropia tenuipedalis |
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作成者:鈴木雅大 作成日:2011年3月1日(2024年4月17日更新) |
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カイガラアマノリ(貝殻甘海苔) |
Pyropia tenuipedalis (A. Miura) N. Kikuchi & Miyata in Sutherland et al. 2011: 1145. |
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紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),ウシケノリ綱(Class Bangiophyceae),ウシケノリ目(Order Bangiales),ウシケノリ科(Family Bangiaceae),アマノリ属(Genus Pyropia) |
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*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),原始紅藻亜綱(Subclass Bangiophycidae),ウシケノリ目(Order Bangiales),ウシケノリ科(Family Bangiaceae),アマノリ属(Genus Porphyra)*Porphyra tenuipedalisとして |
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),ウシケノリ目(Order Bangiales),ウシケノリ科(Family Bangiaceae),アマノリ属(Genus Pyropia) |
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掲載情報 |
阿部ら 2017: 21-22. Fig. 2. |
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Basionym |
Porphyra tenuipedalis A. Miura 1961: 305. Figs A-F. Pls 11-13; 能登谷・菊地 1993: 214, 215. Fig. 106; 吉田 1998: 451; 菊地ら 2003: 72. Figs 2-7; 菊地ら 2002: 114-116. 写真 7, 8; 島村・菊地 2007: Figs 3, 4. |
Homotypic synonym |
Neopyropia tenuipedalis (A. Miura) L.E. Yang & J. Brodie in Yang et al. 2020: 869. Table 2; 菊地・玉城 2022: 73, 74. 図1A-C. 図3; 菊地 2023: 480. |
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Type locality: 東京都 羽田 |
Type specimen: 東京海洋大学 |
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環境省レッドリスト2020:絶滅危惧I類(CR+EN);千葉県レッドデータブック植物・菌類編 2023年改訂版:最重要保護生物(A) |
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分類に関するメモ:カイガラアマノリはPorphyra属のメンバーとされてきましたが,Sutherland et al. (2011)によってPorphyra属からPyropia属に移されました。Yang et al. (2020)は,カイガラアマノリをPyropia属からNeopyropia属に移しましたが,Zuccarello et al. (2022) はNeopyropia属を認めず,Pyropia属に含めたため,カイガラアマノリはPyropia属に戻りました。 |
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押し葉標本(採集地:千葉県 千葉市 中央区 千葉ポートパーク;採集日:2005年4月1日;採集者:鈴木雅大) |
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カイガラアマノリは,潮下帯に生育する二枚貝の殻上に生育します。胞子体であるコンコセリス期の枝の端から配偶体が直接立ち上がるため,貝殻から配偶体が立ち上がります。潮間帯に生育するアマノリ属と比べて鮮やかな紅色をしており,乾燥するとより鮮やかな紅色を呈します。本来は細長い披針形ですが,配偶体の生育末期(3月末~4月頃)になると精子嚢,接合胞子嚢の放出が止まり,体が幅広くなります。 |
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撮影地:千葉県 千葉市 中央区 中央港 千葉ポートパーク;撮影日:2014年4月5日;撮影者:鈴木雅大 |
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千葉県千葉市の観光名所である千葉ポートパークは,東京湾でカイガラアマノリが再発見された場所です。カイガラアマノリは,1967年以降,東京湾では絶滅したと考えられてきましたが,1997年,故 吉﨑 誠 博士(東邦大学名誉教授)が千葉ポートパークにて採集,生存を確認しました。以降,毎年2,3月にかけて配偶体が見られます。3月末になるとほとんど見られなくなりますが,2014年4月に訪れた際,わずかながら残っていた個体を見つけました。 |
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撮影地:兵庫県 淡路市 江井(淡路島);撮影日:2019年3月18日;撮影者:鈴木雅大 |
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採集地:兵庫県 淡路市 江井(淡路島);採集日:2019年3月14日;撮影者:鈴木雅大 |
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押し葉標本(採集地:兵庫県 淡路市 江井(淡路島);採集日:2019年3月14日;採集者:鈴木雅大) |
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兵庫県淡路島で海藻採集をしていたとき,どこかで見たような海苔を見つけました。まさかと思い採集して持ち帰ったところ,カイガラアマノリであることがわかりました。カイガラアマノリは大阪湾や瀬戸内海で見つかっているので,淡路島に生えていても不思議ではないのですが,全く予想していなかったため大変驚きました。何かと縁がある海苔だと思いました。 |
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参考文献 |
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阿部真比古・村瀬 昇・畑間俊弘・金井大成 2017. 山口県山口湾に自生するカイガラアマノリPyropia tenuipedalis (Miura) Kikuchi et Miyata の生育環境.水産大学校研究報告 65: 19-29. |
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Guiry, M. D. and Guiry, G. M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 1 March 2011. |
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菊地則雄 2023. カイガラアマノリ.In: 千葉県希少生物及び外来生物に係るリスト作成検討会(編)千葉県の保護上重要な野生生物-千葉県レッドデータブック-植物・菌類編 2023年改訂版.p. 480. 千葉県環境生活部自然保護課,千葉. |
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菊地則雄・島村嘉一・尾上一明 2003. 浦安市沿岸における絶滅危惧種カイガラアマノリ(紅藻綱ウシケノリ目)の生育.千葉生物誌 52 (2): 71-74. |
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菊地則雄・玉城泉也 2022. 谷津干潟に生育する希少な紅藻アマノリ属藻類.千葉生物誌 72 (2): 71-78. |
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菊地則雄・吉田忠生・吉永一男 2002. 絶滅が危惧される紅藻アマノリ属植物数種の生育状況.エコソフィア 9: 112-117. |
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Miura, A. 1961. A new species of Porphyra and its Conchocelis-phase in nature. Journal of the Tokyo University of Fisheries 47: 305-311. |
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能登谷正浩・菊地則雄 1993. Porphyra tenuipedalis Miura(カイガラアマノリ).In: 堀 輝三(編) 藻類の生活史集成 第2巻 褐藻・紅藻類.pp. 214, 215. 内田老鶴圃,東京. |
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島村嘉一・菊地則雄 2007. 千葉県浦安市沿岸における絶滅危惧種カイガラアマノリPorphyra tenuipedalis(紅藻ウシケノリ目)の生育地について.千葉中央博自然誌研究報告 9: 55-61. |
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Sutherland, J.E., Lindstrom, S.C., Nelson, W.A., Brodie, J., Lynch, M.D.J., Hwang, M.S., Choi, H.-G., Miyata, M., Kikuchi, N., Oliveira, M.C., Farr, T., Neefus, C., Mols-Mortensen, A., Milstein, D. and Müller, K.M. 2011. A new look at an ancient order: Generic revision of the Bangiales (Rhodophyta). Journal of Phycology 47: 1131-1151. |
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Yang, L.-E., Deng, Y.-Y., Xu, G.-P., Russell, S., Lu, Q.-Q. and Brodie, J. 2020. Redefining Pyropia (Bangiales, Rhodophyta): four new genera, resurrectio of Porphyrella and description of Calidia pseudolobata sp. nov. from China. Journal of Phycology 56: 862-879. |
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吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京. |
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吉田忠生 2015. カイガラアマノリ.In: 環境省(編)レッドデータブック 2014 -日本の絶滅のおそれがある野生生物- 9 植物II(蘚苔類・藻類・地衣類・菌類).p. 278. ぎょうせい,東京. |
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吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189. |
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Zuccarello, G.C., Wen, X. and Kim, G.H. 2022. Splitting blades: why genera need to be more carefully defined; the
case for Pyropia (Bangiales, Rhodophyta). Algae 37: 205-211. |
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