ウスカヤモ Planosiphon gracilis | ||||
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年11月26日(2020年5月2日更新) | ||||
ウスカヤモ(薄萱藻) | ||||
Planosiphon gracilis (Kogame) McDevit & G.W.Saunders 2017: 659. | ||||
不等毛植物門(Phylum Heterokontophyta),クリシスタ(Chrysista),褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ亜綱(Subclass Fucophycidae),シオミドロ目(Order Ectocarpales),カヤモノリ科(Family Scytosiphonaceae),カヤモノリ連(Tribe Scytosiphoneae),プラノシフォン属(Genus Planosiphon) | ||||
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),カヤモノリ目(Order Scytosiphonales),カヤモノリ科(Family Scytosiphonaceae),カヤモノリ属(Genus Scytosiphon) | ||||
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),カヤモノリ目(Order Scytosiphonales),カヤモノリ科(Family Scytosiphonaceae),カヤモノリ属(Genus Scytosiphon) | ||||
掲載情報 | ||||
吉田・小亀 1998: 314. Pl. 2-17, Fig. D. Pl. 2-23, Figs D, E; Hoshino et al. 2020: 120. | ||||
Basionym | ||||
Scytosiphon gracilis Kogame 1998: 40. Figs 2-28. | ||||
Type locality: 青森県 大間 | ||||
Holotype: SAP 59720(北海道大学大学院理学研究科植物標本庫) | ||||
撮影地:愛媛県 松山市 高浜町 白石の鼻;撮影日:2016年4月9日;撮影者:鈴木雅大 | ||||
撮影地:兵庫県 淡路市 岩屋 田ノ代海岸(淡路島);撮影日:2016年1月27日;撮影者:鈴木雅大 | ||||
採集地:兵庫県 淡路市 岩屋 田ノ代海岸(淡路島);採集日:2017年2月25日;採集者:鈴木雅大 | ||||
2月,3月頃に大きな群落を作ります。体がくびれず,線状のカヤモノリ類です。著者は未だはっきりと認識できていませんが,同様に細長い線状になるカヤモノリ類にはヒラカヤモ(Petalonia tenella)とカヤモドキ(Hapterophycus canaliculatus)がおり,正確に区別するには成熟した個体を探し,生殖器官の構造を確認する必要があります。とはいえ,著者の行動圏内でみられるのはほぼウスカヤモ一択なので(大した根拠はありませんが),体がくびれないカヤモノリ類は全てウスカヤモと同定してきました。しかし,2019年頃からウスカヤモの同定が揺らいできました。著者が良く採集に訪れる淡路島の人工海岸では,本種のほかにカヤモノリ(Scytosiphon lomentaria)とHoshino et al. (2020)が記載したナミウスカヤモ(Planosiphon nakamurae)が生育しています。カヤモノリは体がくびれること,ナミウスカヤモはワタモやホソクビワタモのように袋状になること(注)から区別は容易と思っていたのですが,くびれが不十分なカヤモノリや,大して袋状にならないナミウスカヤモが混ざっていることが分かりました。ナミウスカヤモにおいては,ウスカヤモと全く区別がつかないことがあり,ウスカヤモの幅広いやつなのか,袋状にならないナミウスカヤモなのか分からなくなることが良くあります。3種とも近い範囲に生えているのでなおさら厄介です。見た目で明らかに区別できるもののみ選んで採集,観察していますが,実習等で学生がランダムに採ってきたものに名前を付けるときは本当に悩みます。
注.実際は袋状にならないものの方が多いようです。もちろんHoshino et al. (2020)にそのような記述はなく,著者の勝手な思い込みでした。 |
||||
押し葉標本(採集地:岩手県 下閉伊郡 山田町 田の浜荒神;採集日:2004年3月13日;採集者:鈴木雅大) | ||||
押し葉標本(採集地:新潟県 両津市 玉崎(現 佐渡市 玉崎);採集日:2003年2月21日;採集者:鈴木雅大) | ||||
体の横断面 *1.0%エリスロシン水溶液で染色 | ||||
体の横断面のスケッチ | ||||
体の縦断面 | ||||
参考文献 | ||||
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 26 November 2011. | ||||
Hoshino, M., Croce, M.E., Hanyuda, T. and Kogame, K. 2020. Species delimitation of Planosiphon gracilis morphospecies (Scytosiphonaceae, Phaeophyceae) from Japan and the description of Pl. nakamurae sp. nov. Phycologia 59: 116-126. | ||||
Kogame, K. 1998. A taxonomic study of Japanese Scytosiphon (Scytosiphonales, Phaeophyceae), including two new species. Phycological Research 46: 39-51. | ||||
McDevit, D.C. and Saunders, G.W. 2017. A molecular investigation of Canadian Scytosiphonaceae (Phaeophyceae) including descriptions of Planosiphon gen. nov. and Scytosiphon promiscuus sp. nov. Botany 95: 653–671. | ||||
吉田忠生・小亀一弘 1998. 2.8 かやものり目 Scytosiphonales. In: 吉田忠生 著.新日本海藻誌.pp. 300-316. 内田老鶴圃,東京. | ||||
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189. | ||||
>写真で見る生物の系統と分類 >真核生物ドメイン >S A R >ストラメノパイル >不等毛植物門 >褐藻綱 >シオミドロ目 >カヤモノリ科 | ||||
>日本産海藻リスト >不等毛植物門 >褐藻綱 >ヒバマタ亜綱 >シオミドロ目 >カヤモノリ科 >カヤモノリ連 >プラノシフォン属 >ウスカヤモ | ||||
「生きもの好きの語る自然誌」のトップに戻る | ||||
© 2011 Masahiro Suzuki |