| ヒロハガラガラ Dichotomaria latifolia |
| 作成者:鈴木雅大 作成日:2024年6月30日(2026年1月1日更新) |
| ヒロハガラガラ(広葉がらがら) |
| Dichotomaria latifolia (Tak.Tanaka) S.Fontana, W.L.Wang & Sh.L.Liu in Fontana et al. 2024: 9. Fig. 3, B, F, J, M, P. nom. inval. [非正式名] |
| 紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),ウミゾウメン亜綱(Subclass Nemaliophycidae),ウミゾウメン目(Order Nemaliales),ガラガラ亜目(Suborder Galaxaurineae),ガラガラ科(Family Galaxauraceae),ヒラガラガラ属(Genus Dichotomaria) |
| 掲載情報 |
| Suzuki & Terada 2025: Table 2. S1 Fig. A, B. |
| Basionym |
| Galaxaura latifolia Tak.Tanaka 1935a: 54. Fig. 4. Pl. 18; 1935b: 42, 43. Fig. 9; 1936: 169. Fig. 35. |
| Type locality: 台湾 基隆市 大里 (Tanaka 1935: 55) |
| Type specimen: |
| 分類に関するメモ:ヒロハガラガラ(Galaxaura latifolia)は,一部の文献に報告があるものの(新村 1990など),新日本海藻誌(吉田 1998)や日本産海藻目録(吉田ら 2015)には掲載されていませんでした。Suzuki & Terada (2025) は,ヒロハガラガラに相当するサンプルを鹿児島県種子島西岸沖で確認しました。
Fontana et al. (2024)は,ヒロハガラガラをビロードガラガラ属(Galaxaura)からヒラガラガラ属(Dichotomaria)に移しましたが,新組み合わせにおいて,基礎異名の引用が有効発表の要件を満たしておらず,国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)(マドリッド規約 2025)の第41.5条において非正式名(invalid name)と考えられます。 |
| 採集地:鹿児島県 種子島西岸沖;採集日:2021年6月25日;撮影者:鈴木雅大 |
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| 押し葉標本(採集地:鹿児島県 種子島西岸沖;採集日:2021年6月25日) |
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| 押し葉標本(採集地:台湾 台北縣 貢寮郷 龍洞(現 新北市 龍洞);採集日:2009年4月15日;採集者:鈴木雅大) |
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| 胞子体の横断面 |
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| 胞子体の縁辺部の横断面 |
| ヒロハガラガラの特徴の1つは,胞子体の縁辺部において同化糸の先端の細胞に突起を持つことです(Fontana et al. 2024)。特にヒメガラガラ(Dichotomaria elegans)と区別する上で重要な特徴となるため,胞子体の切片を作製し,縁辺部を観察したのですが,それらしい突起(矢印)を持つ細胞を数個程度しか見つけられませんでした。丹念に探してようやく見つかるようなものが特徴と成り得るのか気になりましたが,著者が観察したのは冷凍保存していたサンプルなので,生のサンプルであればもう少し容易に観察出来るのかもしれません。機会があれば生のサンプルを改めて観察してみたいと考えています。 |
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| 配偶体の横断面 |
| ヒロハガラガラは,Tanaka (1935)がビロードガラガラ属(Galaxaura)の1種として記載した種類です。台湾で記載された種類ですが,日本統治時代だったため和名が付けられています。台湾では,ヒメガラガラ(Dichotomaria elegans)と共にホソバガラガラ(D. marginata)と混同されてきましたが,Fontana et al. (2024)によって整理され,ビロードガラガラ属からヒラガラガラ属(Dichotomaria)に移されました(注)。日本では鹿児島県で報告があるものの(新村 1990など),リストに名前が挙がっているのみで,新日本海藻誌(吉田 1998)や日本産海藻目録(吉田ら 2015)には掲載されていませんでした。Suzuki & Terada (2025)は,種子島西岸沖でヒロハガラガラに相当するサンプルを確認し,日本産種として報告しました。著者は,鹿児島県指宿市山川でもヒロハガラガラを確認しており,九州地方で「ホソバガラガラ」と呼ばれているものの一部は,ヒロハガラガラである可能性があります。
注.Fontana et al. (2024)は,新組み合わせにおいて,基礎異名の引用が有効発表の要件を満たしておらず,国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)(マドリッド規約 2025)の第41.5条において非正式名(invalid name)です。Fontana et al. (2024)が出版された後,責任著者に問い合わせたところ,「corrigendum(正誤表)を準備している」とのことだったのですが,未だ訂正されていません(2026年1月時点)。 余談ですが,「ヒロハガラガラ」という和名について,著者が確認したヒロハガラガラは,いずれも体の幅が狭く,「ヒロハ」という表現には当てはまらないものばかりでした。ホソバガラガラと比べると幅が広いという意味なのかもしれません。著者は未だホソバガラガラに相当するサンプルを確認出来ていないのですが,機会があればホソバガラガラ,ヒメガラガラの形態的特徴を観察したいと考えています。 |
| 参考文献 |
| Fontana S, Wang W-L, Tseng K-Y, Draisma SGA, Dumilag RV, Hu Z-M, Li J-J, Lai P-H, Mattio L, Sherwood AR, Boo SM and Liu S-L 2024. Seaweed diversification driven by Taiwan’s emergence and the Kuroshio Current: insights from the cryptic diversity and phylogeography of Dichotomaria (Galaxauraceae, Rhodophyta). Frontiers in Ecology and Evolution 12:1346199. |
| Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2024. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 30 June 2024. |
| 新村 巌 1990. 鹿児島県産海藻目録.鹿児島県水産試験場紀要 13: 1-112. |
| Suzuki, M. and Terada, R. 2025. DNA-based floristic survey of red algae (Rhodophyta) growing in the mesophotic coral ecosystems (MCEs) offshore of Tanegashima Island, northern Ryukyu Archipelago, Japan. PLOS ONE 20(3): e0316067. |
| Tanaka, T. 1935a. Four new species of Galaxaura from Japan. Scientific Papers of the Institute of Algological Research, Faculty of Science, Hokkaido Imperial University 1: 51–57. |
| 田中 剛 1935b. 日本産ガラガラ属の分類学的研究.北海道大学海藻研究所報告 4: 17-47. |
| Tanaka, T. 1936. The genus Galaxaura from Japan. Scientific Papers of the Institute of Algological Research, Faculty of Science, Hokkaido Imperial University 1: 141-173. |
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