キヌハバノリ Petalonia tenuis
作成者:鈴木雅大 作成日:2016年5月19日
 
キヌハバノリ(絹幅海苔,絹羽葉海苔)
Petalonia tenuis Ka. Matsumoto & Sa. Shimada in Matsumoto et al. 2014: 135. Figs 3-22.
 
黄藻植物(オクロ植物)門(Phylum Ochrophyta),褐藻綱(Class Phaeophyceae),ヒバマタ亜綱(Subclass Fucophycidae),シオミドロ目(Order Ectocarpales),カヤモノリ科(Family Scytosiphonaceae),セイヨウハバノリ属(Genus Petalonia
 
*1. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:褐藻綱(Class Phaeophyceae),カヤモノリ目(Order Scytosiphonales),カヤモノリ科(Family Scytosiphonaceae),セイヨウハバノリ属(Genus Petalonia
 
Type locality: 神奈川県 葉山.
Holotype specimen: TNS(国立科学博物館植物研究部標本庫)
 
キヌハバノリ Petalonia tenuis
 
キヌハバノリ Petalonia tenuis
撮影地:愛媛県 松山市 高浜町 白石ノ鼻;撮影日:2016年4月9日;撮影者:鈴木雅大
 
キヌハバノリ Petalonia tenuis
押し葉標本(採集地:愛媛県 松山市 高浜町 白石ノ鼻;採集日:2016年4月9日;採集者:鈴木雅大)
 

ヒジキ(Sargassum fusiformeの体上に着生していたハバノリ類で,DNA鑑定したところキヌハバノリであることが分かりました。ヒジキに着生していることを除けばセイヨウハバノリ(Petalonia fasciaに良く似ています。ハバノリの仲間がホンダワラ類などの他の海藻に着生する例はあまり聞かないのですが,このことがキヌハバノリの特徴なのかどうかは分かりません。

→ 後日,ヒジキに着生するセイヨウハバノリが見つかったため,キヌハバノリの同定に使える特徴にはならないことが分かりました。

 
キヌハバノリ Petalonia tenuis
体の横断面(採集地:愛媛県 松山市 高浜町 白石ノ鼻;採集日:2016年4月9日)
 
ハバノリの仲間の外形は良く似ている上,セイヨウハバノリ(Petalonia fasciaは体の幅や高さが生育地によって大きく変化します。ハバノリ(Petalonia binghamiaeは他2種と比べると体の幅が狭く,厚いので慣れてくると識別出来るようになりますが,いずれにしろこの仲間を外形で区別することは難しく,切片を作製して断面を観察する必要があります。キヌハバノリは2014年にセイヨウハバノリと呼ばれていたサンプルの中から別種として区別されたもので,外形はセイヨウハバノリに良く似ており,これまで両種は混同されてきたと考えられます。キヌハバノリの横断面は,セイヨウハバノリに良く似ているものの,大型で球形または多角形の細胞の中に,小型で細長い細胞が混じるという点で区別されます。丁度,セイヨウハバノリとハバノリの中間のような形態と言えるでしょう。しかし,セイヨウハバノリの髄層でも小型で細長い細胞が混じることが少なくないため,キヌハバノリとセイヨウハバノリのどちらの種に充てたら良いか分からなくなることが多いです。結局のところキヌハバノリとセイヨウハバノリを形態的に区別するのは難しく,DNA鑑定するのが最も確実なのが現状です。。DNA鑑定では,神奈川県三浦半島,千葉県勝浦市,愛媛県松山市などで確認されています。各地で「セイヨウハバノリ」と同定・報告されたものを見直す必要があると思います。
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2016. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 19 May 2016.
 
Matsumoto, K., Ichihara, K. and Shimada, S. 2014. Taxonomic reinvestigation of Petalonia (Phaeophyceae, Ectocarpales) in southeast of Honshu, Japan, with a description of Petalonia tenuis sp. nov. Phycologia 53: 127-136.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版). 藻類 63: 129-189.
 

写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインS A Rストラメノパイル黄藻植物(オクロ植物)門褐藻綱 シオミドロ目カヤモノリ科

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