担子菌門 Phylum Basidiomycota | ||||||
作成日:2010年11月28日(2020年4月5日更新) | ||||||
キノコの仲間は私たちにとって身近な食材です。八百屋やスーパーでは「野菜」コーナーで様々なキノコが売られています。キノコは一般的に「動かないもの」というイメージがあり,植物に近いものと考えている人も少なくないようです。余談ですが,菌類の学名は国際植物命名規約によって規定されています(コラム「トリパノソーマ・クルージィの学名について」参照)。ただし,五界説で菌界(分解者)として紹介されている事から,高等学校で生物を習った人の多くはキノコは菌類という植物でも動物でもない生き物だと認識した事でしょう。近年,DNAを用いた分子系統解析の進歩により,菌類は系統的には動物に近い仲間で,動物と共にスーパーグループ・オピストコンタに含まれています。オピストコンタのトップページでも紹介しましたが,菌類と動物は,他の真核生物と異なり,遊泳細胞(動物ならば精子)の鞭毛が1本で,細胞の後方に位置し,鞭毛とは逆の方向に泳ぎます。キノコ(菌類)は私たち動物とは親戚のような関係にあるのです。
菌類の仲間は,菌糸が多数集まった子実体という構造を作ります。子実体では胞子や分生子という生殖細胞を形成します。子実体の中には肉眼で見えるくらい大型になるものがあり,これを「キノコ」と呼んでいます。「キノコ」の多くは分類学的には担子菌門に所属していますが,アミガサタケのように子嚢菌門に所属しているものもあります。 注.本サイトでは購入したもの,野外で撮影したものも含めて食用キノコと毒キノコの両方を掲載しています。著者は菌類の専門家ではなく,野外での見分け方や同定法については全くの素人です。毒キノコか食キノコかを見極めるのは極めて難しく,図鑑を良く読んで勉強することはもちろん,専門家や経験者に教わる必要があります。 |
||||||
担子菌門の分類に関して | ||||||
担子菌門(Basidiomycota)は,伝統的に真正担子菌綱(Eubasidiomycetes),異型担子菌綱(Heterobasidiomycetes),クロボキン綱(Ustilagiomycetes),サビキン綱(Uredinicmycetes)の4綱に分けられておりましたが,Hibbett et al. (2007) は,担子菌門をハラタケ亜門(Agaricomycotina),プクキニア菌亜門(Pucciniomycotina),クロボキン亜門(Ustilagiomycotina)の3つの亜門に分けました。本サイトでは,門,亜門,綱,亜綱,目の分類は,Hibbett et al. (2007) に従い,科,属,種の分類は「Index Fungorum」と幸徳伸也氏が編纂されている「日本産きのこ目録2014」を参考にしました。 | ||||||
ハラタケ亜門 Subphylum Agaricomycotina Dowell, 2001 | ||||||
ハラタケ綱 Class Agaricomycetes Dowell, 2001 | ||||||
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
||||||
*ハラタケ目,スッポンタケ目,キクラゲ目,タマチョレイタケ目などを含みます。 | ||||||
アカキクラゲ綱 Class Dacrymycetes Dowell, 2001 | ||||||
アカキクラゲ目 Order Dacrymycetales Henn. in Engler & Prantl (1898) | ||||||
![]() |
![]() |
|||||
アカキクラゲ科 | アカキクラゲ科 | |||||
ハナビラダクリオキン | ツノマタタケ | |||||
撮影:鈴木雅大;長野県 本沢温泉 | 撮影:鈴木雅大;栃木県 那須郡 那須町 | |||||
シロキクラゲ綱 Class Tremellomycetes Doweld, 2001 | ||||||
シロキクラゲ目 Order Tremellales Fries 1821 | ||||||
![]() |
||||||
シロキクラゲ科 | ||||||
コガネニカワタケ | ||||||
撮影:鈴木雅大;兵庫県 あわじ石の寝屋緑地 | ||||||
プクキニア菌亜門 Subphylum Pucciniomycotina R. Bauer, Begerow, J.P. Samp., M. Weiß & Oberw., 2006 | ||||||
プクキニア菌綱 Class Pucciniomycetes R. Bauer, Begerow, J.P. Samp., M. Weiß & Oberw., 2006 | ||||||
プクキニア目 Order Pucciniales Clem. & Shear, 1931 | ||||||
![]() |
||||||
プクキニア科 | ||||||
Stereostratum corticioides | ||||||
撮影:鈴木雅大;神奈川県 三浦市 三崎町 | ||||||
参考文献 | ||||||
Hibbett et al. 2007. A higher-level phylogenetic classification of the Fungi. Mycological Research 111: 509-547. | ||||||
Index Fungorum Partnership 2013. Index Fungorum. http://www.indexfungorum.org/Index.htm. (閲覧日 2013年12月8日) | ||||||
幸徳伸也 「日本産きのこ目録2014 http://koubekinoko.chicappa.jp/nihonsannkinoko/2014/nihonsannkinoko2014.htm」(閲覧・ダウンロード日 2013年12月16日) | ||||||
>写真で見る生物の系統と分類 >真核生物ドメイン >スーパーグループ オピストコンタ >菌界 | ||||||
「生きもの好きの語る自然誌」のトップに戻る | ||||||
© 2010 Masahiro Suzuki |