サクラノリ Grateloupia imbricata
作成者:鈴木雅大 作成日:2012年2月10日(2018年6月17日更新)
 
サクラノリ(桜海苔)
Grateloupia imbricata Holmes 1896: 255. Pl. 8, Fig. 2.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イソノハナ目(Order Halymeniales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),スギノリ目(Order Gigartinales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
 
掲載情報
岡村 1934: 29. Pl. 314, Figs 1-3; 1936: 543; 川口 1998: 713, 715. Pl. 3-50, Fig. D; Montes et al. 2016: 366-367. Figs 1, 3, 4.
 
Type locality: 静岡県 下田.
Holotype specimen: BM (The Natural History Museum, London, UK)
 
分類に関するメモ:サクラノリはムカデノリ属(Grateloupia)の1種として記載されました。Carderon et al. (2014) ,Kim et al. (2014) などによる遺伝子解析において,ムカデノリ属が多系統群であることが示されました。サクラノリはタンバノリ属(Pachymeniopsis)のクレードに含まれることが示唆されており,属の所属について今後の検討が必要と考えられます。本サイトでは,サクラノリを暫定的にムカデノリ属のメンバーとしました。
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2016年7月6日;撮影者:鈴木雅大
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2018年6月14日;撮影者:鈴木雅大
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
撮影地:三重県 志摩市 志摩町 片田;撮影日:2017年4月14日;撮影者:鈴木雅大
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
採集地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);採集日:2016年6月2日;採集者:鈴木雅大
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
押し葉標本(採集地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);採集日:2016年6月2日;採集者:鈴木雅大)
 
サクラノリ Grateloupia imbricata
押し葉標本(採集地:台湾 基隆市 潮境;採集日:2009年4月13日;採集者:鈴木雅大)
 
海藻の多くは種同定に窮するものですが,本種は太平洋中部に生育する紅藻の中で,普通種でありながら自信を持って名前を付けた経験がただの一度もありません。著者にとって苦手とする種類の一つです。2009年に台湾でポスドクをしていた時,大学の近くの磯で良く見られたのが本種でした。rbcL遺伝子の配列が日本の高知と鹿児島で採集されたものと一致したため同定は正しいだろうと判断しました(*)。これまで種の特徴を理解出来ていなかったのですが,台湾で採集した個体を見る限り,生殖器官が枝の前面に散在するのが最も顕著な特徴と考えられます。外形については,比較的体下部付近から分枝することが特徴となるようですが,他のムカデノリ属(Grateloupia)の例に漏れず,激しく形態変異します。淡路島で採集した個体(DNA鑑定済)は肉厚で幅広く,ミゾオゴノリ(Gracilaria incurvataなどのオゴノリ類かと思ったほどです。とはいえ,「肉厚な」というのは本種について図鑑等で良く見られる表現で,むしろ台湾の個体の方が変わっているのかもしれません。本種については,今後も各地で採集した個体に基づいて,種の特徴を把握していきたいと考えています。
 
参考文献
 
Calderon, M.S., Boo, G.H. and Boo, S.M. 2014. Morphology and phylogeny of Ramirezia osornoensis gen. & sp. nov. and Phyllymenia acletoi sp. nov. (Halymeniales, Rhodophyta) from South America. Phycologia 53: 23-36.
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2012. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 09 February 2012.
 
Holmes, E.M. 1896. New marine algae from Japan. Journal of the Linnean Society of London, Botany 31: 248-260, pls VII-XII.
 
川口栄男 1998. むかでのり科. In: 吉田忠生 著. 新日本海藻誌. pp. 697-734. 内田老鶴圃,東京.
 
Kim, S.Y., Manghisi, A., Morabito, M., Yang, E.C., Yoon, H.S., Miller, K.A. and Boo, S.M. 2014. Genetic diversity and haplotype distribution of Pachymeniopsis gargiuli sp. nov. and P. lanceolata (Halymeniales, Rhodophyta) in Korea, with notes on their non-native distributions. Journal of Phycology 50: 885-896.
 
Montes, M., Rico, J.M., García-Vázquez, E. and Borrell, Y.J. 2016. Morphological and molecular methods reveal the Asian alga Grateloupia imbricata (Halymeniaceae) occurs on Cantabrian Sea shores (Bay of Biscay). Phycologia 55: 365-370.
 
岡村金太郎 1934. 日本藻類圖譜 第7巻 第4集.東京.*自費出版
 
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌. 964 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版). 藻類 63: 129-189.
 

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