アカバギンナンソウ Mazzaella japonica |
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年11月18日(2012年4月7日更新) |
アカバギンナンソウ(赤葉銀杏藻) |
Mazzaella japonica (Mikami) Hommersand in Hommersand et al. 1993: 110. |
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),スギノリ科(Family Gigartinaceae),アカバギンナンソウ属(Genus Mazzaella) |
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),スギノリ科(Family Gigartinaceae),アカバギンナンソウ属(Genus Mazzaella) |
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),スギノリ目(Order Gigartinales),スギノリ科(Family Gigartinaceae),アカバギンナンソウ属(Genus Mazzaella) |
掲載情報 |
吉田 1998: 692. Pl. 3-47, Fig. A; 中庭 2020: 59. |
Basionym |
Rhodoglossum japonicum Mikami 1965: 264-271. Figs 46-50. Pl. 9. |
Homotypic synonym |
Gigartina japonica (Mikami) D.H. Kim 1976: 45. |
その他の異名 |
Iridaea pulchra auct. non Kützing (1849: 725); 遠藤 1911: 603. Fig. 169 (left); 稲垣 1933: 31; 岡村 1936: 660. |
Rhodoglossum pulchrum auct. non (Kützing) Setchell & N.L. Gardner (1936: 472); Nagai 1941: 193. |
Type locality: 北海道 小樽市 忍路 |
Holotype specimen: SAP 028892(北海道大学大学院理学研究院植物標本庫) |
茨城県版レッドデータブック2020年版:絶滅危惧I類 |
撮影地:北海道 函館市 住吉町;撮影日:2012年4月7日;撮影者:鈴木雅大 |
東北地方太平洋沿岸や北海道で大きな群落を作る種類です。鮮やかな紅色から橙色をしているため良く目立ちます。 |
押し葉標本(採集地:岩手県 下閉伊郡 山田町 船越漁港;採集日:2004年3月11日;採集者:鈴木雅大) |
押し葉標本(採集地:岩手県 下閉伊郡 山田町 田の浜荒神;採集日:2002年6月26日;採集者:鈴木雅大) |
ツノマタ属(Chondrus),アカバギンナンソウ属(Mazzaella)などのツノマタ類は形態変異の激しい種類が多いことで知られています。本種もその一種で,季節や生育場所によって形態が大きく変わります。体下部が幅の狭い柄状になることは共通していますが,上部の葉状部の幅は,大きく広がるもの,分岐するもの,分岐した先で幅が広くなるものなど様々です。分岐が3回以上のものがエダウチギンナン(Rhodoglossum japonicum f. divergens)(注)として品種のレベルで区別されていますが,同じ生育地においても分枝するものしないものが混在して見られることがあることから,ここでは品種の区別はしませんでした。
注.エダウチギンナンは,アカバギンナンソウがRhodoglossum属からMazzaella属に移されてから現在まで,Rhodoglossum属に取り残されており,Mazzaella属との新組み合わせが必要です。 |
仏の耳 |
アカバギンナンソウは,北海道で「銀杏草」と呼ばれて売られています。函館周辺では「仏の耳」,「福耳」という名前も見られます。水に戻したものを刻んでサラダや味噌汁に入れるのが一般的なようです。東北地方三陸沿岸ではアカバギンナンソウを蒸して固めた「アカハタ餅」という郷土料理があります。著者はまだ食べたことがありませんが,いつか銚子の「カイソウ」と食べ比べてみたいと思っています。 |
参考文献 |
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 18 November 2011. |
Hommersand, M.H., Guiry, M.D., Fredericq, S. and Leister, G.L. 1993. New perspectives in the taxonomy of the Gigartinaceae (Gigartinales, Rhodophyta). Proceedings of the International Seaweed Symposium 14: 105-120. |
稲垣貫一 1933. 忍路湾及び其れに近接せる沿岸の海産紅藻類. 北海道帝国大学理学部海藻研究所報告 2: 1-77. |
Kim, D.H. 1976. A study of the development of cystocarps and tetrasporangial sori in Gigartinaceae (Rhodophyta, Gigartinales). Nova Hedwigia 27: 1-146. |
Kützing, F.T. 1849. Species algarum. 922 pp. F.A. Brockhaus, Lipsiae. |
Mikami, H. 1965. A systematic study of the Phyllophoraceae and Gigartinaceae from Japan and its vicinity. Memoirs of the Faculty of Fisheries Hokkaido University 5: 181-285. |
Nagai, N. 1941. Marine algae of the Kurile Islands, II. Journal of the Faculty of Agriculture, Hokkaido Imperial University 46: 139-310. |
中庭正人 2020. アカバギンナンソウ.In: 茨城における絶滅のおそれのある野生生物 蘚苔類・藻類・地衣類・菌類編 2020年版(茨城県版レッドデータブック).p. 59. 茨城県民生活環境部自然環境課,水戸. |
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌.964 pp. 内田老鶴圃,東京. |
Setchell, W.A. and Gardner, N.L. 1936. Iridophycus gen. nov. and its representation in South America. Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America 22: 469-473. |
遠藤吉三郎 1911. 海産植物学.748 pp. 博文館,東京. |
吉田忠生 1998. 新日本海藻誌.1222 pp. 内田老鶴圃,東京. |
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189. |
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