カタノリ Grateloupia divaricata
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年11月18日(2017年7月2日更新)
 
カタノリ(堅海苔)
Grateloupia divaricata Okamura 1895: 482. Pl. 9, Figs 1, 2.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イソノハナ目(Order Halymeniales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),スギノリ目(Order Gigartinales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
 
掲載情報
岡村 1902: 88; 1913: 55. Pl. 116. Pl. 117, Figs 12-18; 1936: 541; 遠藤 1911: 729; 川口 1998: 710, 713. Pl. 3-47, Fig. E.
 
Heterotypic synonym
  ゲジゲジムカデノリ Grateloupia incurvata Noda in Noda & Kitami 1971: 41. Fig. 7. Pl. 2, Fig. 1. (Type locality: 新潟県 粟島 釜谷. Type specimen: 所在不明)
 
Type locality: 石川県 羽
Holotype specimen: SAP herb. Okamura(北海道大学大学院理学研究科植物標本庫 岡村金太郎コレクション)
 
分類に関するメモ:カタノリはムカデノリ属(Grateloupia)の1種として記載されました。Carderon et al. (2014) ,Kim et al. (2014) などによる遺伝子解析において,ムカデノリ属が多系統群であることが示されました。カタノリはヒラキントキ属(Prionitis)のクレードに含まれることが示唆されており,属の所属について今後の検討が必要と考えられます。本サイトでは,カタノリを暫定的にムカデノリ属のメンバーとしました。
 
カタノリ Grateloupia divaricata
 
カタノリ Grateloupia divaricata
撮影地:新潟県 佐渡市 見立(佐渡島);撮影日:2011年8月7日;撮影者:鈴木雅大
 
カタノリ Grateloupia divaricata
押し葉標本(採集地:新潟県 両津市 見立(現 佐渡市 見立);採集日:2002年7月27日;採集者:鈴木雅大)
 
カタノリ Grateloupia divaricata
押し葉標本(採集地:新潟県 両津市 浦川漁港(現 佐渡市 浦川漁港);採集日:2003年7月23日;採集者:鈴木雅大)
 
カタノリ Grateloupia divaricata
押し葉標本(採集地:岩手県 下閉伊郡 山田町 勘定浜;採集日:2003年8月27日;採集者:鈴木雅大)
 
カタノリ Grateloupia divaricata
押し葉標本(採集地:青森県 下北郡 東通村 白糠漁港;採集日:2005年8月5日;採集者:鈴木雅大)
 
枝の先端部が広い角度で二叉に分岐することが特徴ですが,多くのムカデノリ属(Grateloupia)同様,色や形が激しく変化します。日本海に分布の中心を持つ日本海特産種と考えられています。太平洋側では下北半島や岩手県沿岸で見られます。
 
カタノリ Grateloupia divaricata
 
カタノリ Grateloupia divaricata
採集地:新潟県 佐渡市 玉崎(佐渡島);採集日:2017年4月26日;採集者:鈴木雅大
 
ムカデノリ科(Halymeniaceae)の仲間のほとんどは,形態変異の激しい種と考えられていますが,本種とヒラムカデ(Grateloupia lividaムカデノリ(G. asiaticaは,その中でも特に激しく形を変える種類です。著者は,大学院修士課程の時に佐渡島の海藻を調べていたので,本種が生育地によって様々な形になることをある程度経験的に知っており,幸いにも今まで誤同定をしたことがありません。しかし,本種の同定は専門家であっても意見が分かれることがあり,著者が2017年4月に佐渡島で採集した個体は,著者が「カタノリです」と言っても,その場にいた専門家達は誰も納得せず,「ツノムカデ(Grateloupia corneaだろう」と言われました。この個体は枝が細長い線状で副出枝が少なく,しかも「先端で二又に分かれる」という本種の特徴が全くありません。採集時は著者も「まるでオゴノリ(Gracilaria vermiculophyllaみたいだ」と首をひねったほどです。カタノリの特徴の無いものをカタノリと同定し,かつ他者に説明するのは非常に難しく,残念ながら「経験的に」としか説明しようがありませんでした。止むを得ずrbcL遺伝子を用いたDNA鑑定を実施したところ,この個体はカタノリであることが強く示唆されました。鑑定結果を見たときは本当にホッとしましたが,それにしても凄まじい形態変異をする種類だと改めて思いました。
 
参考文献
 
Calderon, M.S., Boo, G.H. and Boo, S.M. 2014. Morphology and phylogeny of Ramirezia osornoensis gen. & sp. nov. and Phyllymenia acletoi sp. nov. (Halymeniales, Rhodophyta) from South America. Phycologia 53: 23-36.
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2012. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 09 February 2012.
 
川口栄男 1998. むかでのり科. In: 吉田忠生 著. 新日本海藻誌. pp. 697-734. 内田老鶴圃,東京.
 
Kim, S.Y., Manghisi, A., Morabito, M., Yang, E.C., Yoon, H.S., Miller, K.A. and Boo, S.M. 2014. Genetic diversity and haplotype distribution of Pachymeniopsis gargiuli sp. nov. and P. lanceolata (Halymeniales, Rhodophyta) in Korea, with notes on their non-native distributions. Journal of Phycology 50: 885-896.
 
Noda, M. and Kitami, T. 1971. Some species of marine algae from Echigo Province facing the Japan Sea. Science reports of Niigata University. Series D, (Biology) 8: 35-52.
 
Okamura, K. 1895. New or little known algae from Japan. Botanical Magazine, Tokyo 9: 445-455, 472-482, Plate IX.
 
岡村金太郎 1902. 日本藻類名彙. 276 pp. 敬業社, 東京.
 
岡村金太郎 1913. 日本藻類圖譜 第1巻 第7集.東京.*自費出版
 
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌. 964 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
遠藤吉三郎 1911. 海産植物学.748 pp. 博文館,東京.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版). 藻類 63: 129-189.
 

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