サンゴイソギンチャク Entacmaea quadricolor
作成者:鈴木雅大・鈴木文子 作成日:2010年11月21日(2013年4月20日更新)
 
サンゴイソギンチャク(ウスカワイソギンチャク)(珊瑚磯巾着,薄皮磯巾着)
Entacmaea quadricolor (Leuckart in Rüppell & Leuchkart, 1828)
 
動物界(Kingdom Animalia),ヒドラ亜界(Subkingdom Hydrobiotina),刺胞動物門(Phylum Cnidaria),花虫綱(Class Anthozoa),六放珊瑚亜綱(Subclass Hexacorallia),イソギンチャク目(Order Actiniaria),エンテモナエ亜目(Suborder Enthemonae),アクチニオイデア上科(Superfamily Actinioidea),ハタゴイソギンチャク科(Family Stichodactylidae),エンタクマエア属(Genus Entacmaea
 
Homotypic synonyms
  Actinia quadricolor Leuckart in Rüppell & Leuchkart (1828)
その他の異名
  サンゴイソギンチャク "Entacmaea actinostoloides" sensu Uchida, 1947
  オオサンゴイソギンチャク "Entacmaea maxima" sensu Uchida, 1975
  タマイタダキイソギンチャク "Entacmaea ramsayi" sensu Uchida & Soyama, 2001
  この他,柳 (2006),Fautinの「Hexacorallians of the World」を参照。
 
サンゴイソギンチャク Entacmaea quadricolor
撮影地:東京都 品川区 しながわ水族館;撮影日:2010年11月21日;撮影者:鈴木文子
 
サンゴイソギンチャク Entacmaea quadricolor
 
サンゴイソギンチャク Entacmaea quadricolor
撮影地:静岡県 沼津市 内浦重寺 あわしまマリンパーク;撮影日:2011年12月31日;撮影者:鈴木雅大
 
本州中部以南の浅い海に分布している他,水族館や海水魚の飼育などで良く見られるイソギンチャクです。上の写真の個体は,触手が大きく膨らまないためオオサンゴイソギンチャク(Entacmaea maxima)と同定出来るのですが,サンゴイソギンチャク,オオサンゴイソギンチャク,ウスカワイソギンチャク,タマイタダキイソギンチャクは分類が確定しておらず,それぞれ独立の種とする見解(内田・楚山 2001)や4種をE. quadricolorにまとめる見解(Dunn 1981)などがあり,各種の学名にも混乱が見られます。本サイトでは柳 (2006)を参考に,Dunn (1981)の見解に従うと共に,E. quadricolorの和名をサンゴイソギンチャクとしました。Fautin の「Hexacorallians of the World」によると,Entacmaea属にはE. quadricolorE. medusivoraの2種のみが認められており,科の所属はウメボシイソギンチャク科(Actiniidae)となっています。上述の通り,日本産Entacmaea属の分類は,明らかに混乱しており,今後更なる検討が必要と考えられますが,本サイトでは柳 (2006)の見解に従いました。人を刺す危険性のある種です。

 このサンゴイソギンチャクにはカクレクマノミが共生しています。クマノミの仲間はイソギンチャクの刺胞毒に対する免疫を持っているため,刺胞に触れても捕食されません。また,サンゴイソギンチャクは触手にズーザンテラ(Zooxanthella)もしくは褐虫藻と呼ばれる藻類を共生させています。この共生藻は渦鞭毛植物のシンビオディニウム属の一種Symbiodinium sp.)で,サンゴの仲間の持つ共生藻類と同じ仲間です。刺胞によって捕食生活をしながら,共生藻の光合成によってもエネルギーを得るという不思議な生態を持っています。

 
参考文献
 
Dunn, D.F. 1981. The clownfish sea anemones: Stichodactylidae (Coelenterata: Actiniaria) and other sea anemones symbiotic with pomacentrid fishes. Transactions of the American Philosophical Society New Series 71: 3-115.
 
Fautin, D. 2012. Entacmaea quadricolor (Leuckart in Rüppell & Leuckart, 1828) . In: Fautin, Daphne G. 2011. Hexacorallians of the World. Accessed through: World Register of Marine Species at http://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=289898 on 2013-04-20.
 
Fautin, D.G. 2013. Hexacorallians of the World. http://geoportal.kgs.ku.edu/hexacoral/anemone2/index.cfm.
 
篠永 哲・野口玉雄 2013. フィールドベスト図鑑 vol.17. 危険・有毒生物.256 pp. 学研教育出版,東京.
 
内田紘臣・楚山 勇 2001. イソギンチャクガイドブック. TBSブリタニカ,東京,159 pp.
 
柳 研介 2006. 相模灘のイソギンチャク相と本邦産のイソギンチャク類の現状について. 国立科博専報 40: 113-173.
 

写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ オピストコンタ動物界ヒドラ亜界花虫綱イソギンチャク目

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