系統学的研究が進み,現在の真核生物の分類体系において,これらの仲間は系統的に「動物」,「植物」とは異なり,「黄色生物」と呼ばれる大きなグループに含まれています。「渦鞭毛虫/動物」と「渦鞭毛藻類/植物」は互いに近縁な仲間であり,生活様式の違いは色素体の獲得様式の違いなどによってもたらされたと考えられています(色素体/葉緑体の成立と多様性)。伝統的に呼び分けてきたものが同じグループの生き物であることが判明したわけですが,この場合,「渦鞭毛虫/動物」あるいは「渦鞭毛藻類/植物」を何と呼べばよいか,判断に困ります。「渦鞭毛生物」と呼ぶか,英名の「dinoflagellate」を直訳して「渦鞭毛類」と呼ぶのが適当かと思いますが,現在のところ正式な呼び名は決まっていません。本サイトでは,便宜上「虫」や「藻」を外し,「渦鞭毛~」としました。
分類学的にも大きな問題があり,同じ分類階級や種類に対し,ICZNとICBN(現 ICN)という異なる命名規約に基づいて記載された学名が2つ生じてしまっています。両命名規約は互いに不可侵なものであり,命名法上,ICZNとICBN(現 ICN)のどちらも有効となるため,どちらの規約を用いるべきか判断が難しいところです。本サイトでは,Ruggiero et al. (2015) に従い,下門(Infraphylum)と上綱(Superclass)の階級はICZNにおいて記載された「Dinozoa」と「Dinoflagellata」を用いました。
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