ヒトツマツ Grateloupia chiangii
作成者:鈴木雅大 作成日:2013年11月4日(2020年8月19日更新)
 
ヒトツマツ(一つ松)
Grateloupia chiangii Kawaguchi & H.W. Wang in Wang et al. 2001: 258. Table 4.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イソノハナ目(Order Halymeniales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
 
*1. 吉田(1998)「新日本海藻誌」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),真正紅藻亜綱(Subclass Florideophycidae),スギノリ目(Order Gigartinales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),キントキ属(Genus Prionitis)*Prionitis divaricataとして
*2. 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),スギノリ目(Order Gigartinales),ムカデノリ科(Family Halymeniaceae),ムカデノリ属(Genus Grateloupia
 
Basionym
  Carpopeltis divaricata Okamura 1934: 31. Pl. 317, Figs 1-5; 1936: 554. *Replaced synonym
Homotypic synonym
  Prionitis divaricata (Okamura) Kawaguchi 1989: 230. Figs 26-29; 1998: 730-731. Pl. 3-58, Fig. D.
Heterotypic synonym
  Grateloupia affinis var. lata Okamura 1893: 101. Pl. 5. Figs 6-10. p.p. (Syntype localities: 千葉県;神奈川県;三重県志摩など定まっていない. Type specimen: )
   ≡ Grateloupia lata (Okamura) Okamura 1902: 87. p.p.
 
Type locality: 神奈川県 三浦市 諸磯.
Holotype specimen: SAP herb. Okamura(北海道大学大学院理学研究科植物標本庫 岡村金太郎コレクション)
 
分類に関するメモ:ヒトツマツはCarpopeltis属の1種として記載された後,Prionitis属に移されました。Wang et al. (2001)はPrionitis属とされていた日本産種をムカデノリ属(Grateloupia)のメンバーとし,ヒトツマツをPrionitis属からムカデノリ属に移し,カタノリ(G. divaricataの後続同名になるのを避けるため,新名G. chiangiiを提唱しました。Carderon et al. (2014) ,Kim et al. (2014) などによる遺伝子解析において,ムカデノリ属が多系統群であることが示されました。ヒトツマツはタンバノリ属(Pachymeniopsis)のクレードに含まれることが示唆されており,属の所属について今後の検討が必要と考えられます。本サイトでは,ヒトツマツを暫定的にムカデノリ属のメンバーとしました。
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
撮影地:三重県 志摩市 志摩町 片田;撮影日:2017年4月14日;撮影者:鈴木雅大
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2016年7月6日;撮影者:鈴木雅大
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2016年3月10日;撮影者:鈴木雅大
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2019年4月22日;撮影者:鈴木雅大
 
撮影地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);撮影日:2020年8月18日;撮影者:鈴木雅大
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
採集地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);採集日:2016年3月23日;採集者:鈴木雅大
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
押し葉標本(採集地:静岡県 下田市 大浦海岸;採集日:2005年5月10日;採集者:鈴木雅大)
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
押し葉標本(採集地:千葉県 館山市 沖ノ島;採集日:2004年9月1日;採集者:鈴木雅大)
 
ヒトツマツ Grateloupia chiangii
押し葉標本(採集地:兵庫県 洲本市 由良(淡路島);採集日:2015年5月19日;採集者:鈴木雅大)
 
関東地方以南の太平洋沿岸で良くみられる普通種ですが,トサカマツ(Grateloupia crispataサクラノリ(Grateloupia imbricataなどとの区別に悩むことが良くあります。この3種は同じ磯で見られることも多く,同じ岩の上に3種が生えていたこともあります。体構造が良く似ていることから,外形で判断するしかないのですが,3種を区別する決定的な特徴が無いため,小型の個体などでは同定を放棄することもしばしばです。淡路島で採集したサンプルについてはrbcL遺伝子の配列を決定し"DNA鑑定"により本種であることを確認しています。"DNA鑑定"の結果を基に,著者なりに典型的と考えられる本種の特徴を調べてみると,比較的規則正しく二叉分枝し,トサカマツよりも枝の幅が広く,枝が内側に向かって反らないことが挙げられ,従来の図鑑等で述べられてる通りでした。しかし,全ての個体が上記の特徴を持つわけではなく,どうしても判断が付かないものも少なくありませんでした。"DNA鑑定"が比較的一般的に行えるようになったとはいえ,形態観察だけで判断が付かない種は本当に厄介です。
 
参考文献
 
Calderon, M.S., Boo, G.H. and Boo, S.M. 2014. Morphology and phylogeny of Ramirezia osornoensis gen. & sp. nov. and Phyllymenia acletoi sp. nov. (Halymeniales, Rhodophyta) from South America. Phycologia 53: 23-36.
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2013. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 04 November 2013.
 
Kawaguchi, S. 1989. The genus Prionitis (Halymeniaceae, Rhodophyta) in Japan. Journal of the Faculty of Science, Hokkaido University, Series V (Botany) 16: 193-257.
 
川口栄男 1998. むかでのり科. In: 吉田忠生 著. 新日本海藻誌. pp. 697-734. 内田老鶴圃,東京.
 
Kim, S.Y., Manghisi, A., Morabito, M., Yang, E.C., Yoon, H.S., Miller, K.A. and Boo, S.M. 2014. Genetic diversity and haplotype distribution of Pachymeniopsis gargiuli sp. nov. and P. lanceolata (Halymeniales, Rhodophyta) in Korea, with notes on their non-native distributions. Journal of Phycology 50: 885-896.
 
Okamura, K. 1893. Contributions to the phycology of Japan. Botanical Magazine, Tokyo 7: 99-102.
 
岡村金太郎 1902. 日本藻類名彙. 276 pp. 敬業社, 東京.
 
岡村金太郎 1934. 日本藻類圖譜 第7巻 第4集. 東京.*自費出版.
 
岡村金太郎 1936. 日本海藻誌. 964 pp. 内田老鶴圃,東京.
 
Wang, H.W., Kawaguchi, S., Horiguchi, T. and Masuda, M. 2001. A morphological and molecular assessment of the genus Prionitis J. Agardh (Halymeniaceae, Rhodophyta). Phycological Research 49: 251-262.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版). 藻類 63: 129-189.
 

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