セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
 
作成者:鈴木雅大 作成日:2011年12月16日(2017年9月3日更新)
 
セイヨウアヤギヌ(西洋綾絹)
Caloglossa leprieurii (Montagne) G. Martens 1924: 161.
 
紅藻植物門(Phylum Rhodophyta),真正紅藻亜門(Subphylum Eurhodophytina),真正紅藻綱(Class Florideophyceae),マサゴシバリ亜綱(Subclass Rhodymeniophycidae),イギス目(Order Ceramiales),コノハノリ科(Family Delesseriaceae),サルコメニア亜科(Subfamily Sarcomenioideae),アヤギヌ連(Tribe Caloglosseae),アヤギヌ属(Genus Caloglossa
 
* 吉田ら(2015)「日本産海藻目録(2015年改訂版)」における分類体系:紅藻綱(Class Rhodophyceae),イギス目(Order Ceramiales),コノハノリ科(Family Delesseriaceae),アヤギヌ属(Genus Caloglossa
 
Basionym
  Delesseria leprieurii Montagne 1840: 196-197. Pl. 5, Fig. 1.
Homotypic synonym
  Hypoglossum leprieurii (Montagne) Kützing 1849: 875.
 
Type locality: Sinnamary, NW of Cayenne, French Guiana.
Holotype specimen: PC (Muséum National d'Histoire Naturelle, Paris)
 
環境省レッドリスト2019:準絶滅危惧(NT)
 
静岡県南伊豆町青野川のセイヨウアヤギヌ
 
セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
潮間帯上部の岩上に生育している(円で囲った部分)。
 
セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
撮影地:静岡県 賀茂郡 南伊豆町 青野川河口;撮影日:2010年1月16日;撮影者:吉﨑 誠
 
セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
顕微鏡写真(採集地:静岡県 賀茂郡 南伊豆町 青野川;採集日:2009年12月28日;採集者:吉﨑 誠)
 
セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
 
セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
撮影地:静岡県 賀茂郡 南伊豆町 青野川河口;撮影日:2014年5月15日;撮影者:鈴木雅大
 
セイヨウアヤギヌ Caloglossa leprieurii
押し葉標本(採集地:静岡県 賀茂郡 南伊豆町 青野川河口;採集日:2014年5月15日;採集者:鈴木雅大)
 
青野川は伊豆半島南部に位置し,天神原から弓ヶ浜に至る川です。青野川の汽水域には,オオイシソウ(Compsopogon caeruleusアヤギヌ(Caloglossa continuaホソアヤギヌ(C. ogasawaraensisタニコケモドキ(Bostrychia simpliciusculaなどの紅藻類が生育しています。2008年から2011年にかけて青野川の汽水域に生育する紅藻類を対象とした生育調査が行われたことがあり,著者も何度か調査に参加させて頂きました。著者の恩師,故吉﨑誠博士(東邦大学 名誉教授)が中心となって実施された調査で,セイヨウアヤギヌ(C. leprieurii)はその調査の中で見つかったものです。セイヨウアヤギヌは,亜熱帯域や熱帯域に多くみられる紅藻類で,日本では沖縄などの南西諸島に分布しています。南西諸島に分布する種が伊豆半島で見つかったのは驚くべきことで,青野川は「セイヨウアヤギヌの北限」と考えられます。注目すべき新産地として正式に報告してもよいかもしれないのですが,青野川のセイヨウアヤギヌの分布については,人為的な移入の可能性を考慮する必要があります。青野川河口には1959年に種子島から移植されたというメヒルギの群落があり,いわゆるマングローブ林があります(桝田 1999)。アヤギヌ類はマングローブ域に群落を形成する「マングローブ藻類」であるため,移植したメヒルギにセイヨウアヤギヌの藻体あるいは胞子(果胞子や四分胞子)が付着しており,それが青野川河口に移入,定着したという可能性が考えられます。青野川の紅藻類の分布や生育状況に関する過去の記録は無いので,セイヨウアヤギヌがマングローブの移植前から青野川に自然分布していた可能性も否定出来ませんが,現在のところ青野川以外の本州太平洋沿岸や四国沿岸でセイヨウアヤギヌが見つかっていないことから,人為的な移入の可能性は低くないと思います。種子島及び南西諸島で採集したセイヨウアヤギヌとの比較,特にDNA配列を用いた系統地理学的な解析が必要だと思います。
 
参考文献
 
Guiry, M.D. and Guiry, G.M. 2011. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. https://www.algaebase.org; searched on 16 December 2011.
 
Kützing, F.T. 1863. Diagnosen und Bemerkungen zu drei und siebenzig neun Algenspecies. Zu der öffentlichen Prüfung sämmtlicher Klassen der Realschule zu Nordhausen. 19 pp. Nordhausen.
 
桝田信彌 1999. 静岡県南伊豆町青野川のマングローブ植林について.Macro Review 11: 63-70.
 
Setchell, W.A. 1924. American Samoa: Part I. Vegetation of Tutuila Island. Part II. Ethnobotany of the Samoans. Part III. Vegetation of Rose Atoll. Publications of the Carnegie Institution of Washington 341: 1-275.
 
吉田忠生・鈴木雅大・吉永一男 2015. 日本産海藻目録(2015年改訂版).藻類 63: 129-189.
 
 
写真で見る生物の系統と分類真核生物ドメインスーパーグループ アーケプラスチダ紅藻植物門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱イギス目コノハノリ科
 
日本産海藻リスト紅藻植物門真正紅藻亜門真正紅藻綱マサゴシバリ亜綱イギス目コノハノリ科サルコメニア亜科アヤギヌ連アヤギヌ属セイヨウアヤギヌ
 
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