日本産海藻リストから除外した種類

   
以下は,漂着例のみで自生が確認されていない,化石種として記載され,現生種は知られていない,リストに名前があるのみで同定の根拠が不明,実体を明らかにするのが困難などの理由により,日本産海藻リストから除外した種類です。
 
リストから除外した種類(紅藻)
 
Amphiroa ryukyuensis Ishijima
  Ishijima (1938) が沖縄県から記載した化石種です。現生種ではないため,日本産種から除外しました。
Acrochaetium chaetomorphae (Tak. Tanaka & Pham-Hoàng Hô) Heerebou
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Acrochaetium colaconemoides Pham-Hoàng Hô
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Acrochaetium subseriatum Børgesen
Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Antithamnion pectinatum (Montagne) Braunerh [詳細情報]
Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Bangiopsis dumontioides (P. Crouan & H. Crouan) V. Krishnmurth [詳細情報]
Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Ceramium cingulatum Weber Bosse [詳細情報]
  Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Ceramium maryae Weber Bosse
Hata et al. (2002)が沖縄県瀬底島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Ceramium vagans P.C. Silva [詳細情報]
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Champia vieillardii Kützing [詳細情報]
  田中(1967)が宮崎県から,Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
セイロンソゾ Chondrophycus ceylanicus (J. Agardh) M.J. Wynne, Serio, Cormaci & G. Furnari
  八木 (1939) が"Laurencia ceylanica"として瀬戸内海で報告しましたが,リストに名前を挙げているだけで,以後日本での報告はなく,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Chondria littoralis Harvey
  八木 (1939) が瀬戸内海で報告しましたが,同定については「?」としています。以後日本での報告はなく,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Chondria minutula Weber Bosse
Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Chondrus punctatus Suringar [詳細情報]
  Textorが日本で採集したサンプルを基にSuringar (1867) が記載した種類です。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Colaconema gracile (Børgesen) Ateweberhan & Prud'homme [詳細情報]
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Corallina elliptica Ishijima
  Ishijima (1932) が記載した化石種です。現生種ではないため,日本産種から除外しました。
Dermatolithon megacrustum (Johnson & Ferris) Ishijima
Ishijima (1938) が北大東島から報告した化石種です。現生種ではないため,日本産種から除外しました。
ナンカイヒビロード Dudresnaya hawaiiensis R.K.S. Lee [詳細情報]
吉﨑(1993)は,Dudresnaya hawaiiensisが八丈島に生育すると述べており,ナンカイヒビロードという和名を付けています。標本や記載が無いため,日本産種から除外しました。
Gelidium pusillum var. cylindricum W.R. Taylor [詳細情報]
Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Gigartina punctata var. flabelliformis Hariot [詳細情報]
Hariot (1891)が神奈川県横須賀から記載した種類です。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Gracilaria rhodymenioides A. Millar [詳細情報]
Ng et al. (2014)が"Gracilaria sp."として公開した沖縄県備瀬産のrbcL遺伝子の配列(KC209056)は,Muangmai et al. (2014) が"G. rhodymenioides"として公開したタイ産の配列データ(KF854302, KF854303)と近似し,同一種の可能性が示唆されました。両論文共に形態や標本,同定について触れられていない他,G. rhodymenioidesのタイプ産地はオーストラリアであることから,沖縄県産の"Gracilaria sp."をG. rhodymenioidesと判断することが出来ず,日本産種から除外しました。
トゲイツツギヌ Gracilaria spinulosa (Okamura) C.F. Chang & B.M. Xia [詳細情報]
八木(1961, 1964)が愛媛県宇和島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Gracilariopsis longissima (S.G. Gmelin) Steentoft, L.M. Irvine & Farnham [詳細情報]
Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草で報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類です。Gracilaria verrucosa (現Gp. longissima)のことを指している可能性がありますが,北太平洋西岸で"G. verrucosa"と呼ばれていた種は,オゴノリ(Gracilaria vermiculophylla)に相当します。Titlyanov et al. (2019)は,Gp. longissimaとは別にオゴノリも掲載しているので,Titlyanov et al. (2019)が"Gp. longissima"としている種の実体は不明です。いずれにしてもリストに名前を挙げているだけで同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Grateloupia acutiuscula Grunow [詳細情報]
Holmes (1896) が日本産サンプル(産地不明)を基に記載した種類です。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Grateloupia gelatinosa Grunow [詳細情報]
Holmes (1896)が神奈川県江ノ島から記載しました。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Grateloupia japonica Grunow [詳細情報]
  Holmes (1896) が日本産サンプル(産地不明)を基に記載した種類です。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Griffithsia metcalfii C.K. Tseng
Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Halymenia formosa Harvey ex Kützing [詳細情報]
  Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Herposiphonia obscura Hollenberg
Hata et al. (2002), Hata & Kato (2003)が沖縄県瀬底島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Herposiphonia secunda (C. Agardh) Ambronn [詳細情報]
  Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Heterosiphonia crispella (C. Agardh) M.J. Wynne
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Hydrolithon boreale (Foslie) Y.M. Chamberlain
Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Hypnea valentiae (Turner) Montagne [詳細情報]
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Hypoglossum attenuatum N.L. Gardner
Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
ヒレベニハノリ Hypoglossum sorsile Yamada nom. nud. [裸名] [詳細情報]
  八木 (1961, 1964) に記述があります。故山田幸男博士の文献全てを精査したわけではありませんが,原記載となる文献が見つからないことから,裸名(nomen nudum)と考えられます。以後,報告がなく,標本などの情報もないため,日本産種から除外しました。
Laurencia virgata (C. Agardh) J. Agardh
  Harvey (1857), Martens (1868)が函館で報告しました。Laurencia virgata(現 Laurencia glomerata)はオーストラリアや南アフリカに分布している種類で,これまで日本で報告されたことはなく,別種の可能性が高いと考えられます。実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Lithophyllum incrustans Philippi
  岡村(1902, 1936)などに掲載された種ですが,エゾイシゴロモ(Lithophyllum yessoense)に含まれることが示唆されており,馬場・加藤(2023)は,日本産種から除外しました。
Lithophyllum racemus (Lamarck) Foslie
  岡村(1902, 1936)などに掲載された種ですが,日本産と認められる標本が見つからないことから,馬場・加藤(2023)は,日本産種から除外しました。
Lithoporella quadratica Ishijima
Ishijima (1933) が静岡県から記載した化石種です。現生種ではないため,日本産種から除外しました。
イシモ Lithothamnion laeve f. tenue (Kjellman) Foslie [詳細情報]
岡村(1902)が報告した種ですが,日本産と認められる標本の所在を特定出来ないことから,馬場・加藤(2023)は,イシモを日本産種から除外しました。
アッケシオコシ Lithothamnion obtectulum (Foslie) Foslie [詳細情報]
岡村(1902)が報告した種ですが,日本産と認められる標本の所在を特定出来ないことから,馬場・加藤(2023)は,アッケシオコシを日本産種から除外しました。
Lithothamnion siamense (Foslie) Foslie [詳細情報]
  岡村(1916)が報告した種ですが,日本産種の実体が明らかでないことから,馬場・加藤(2023)は,日本産種から除外しました。
Lophosiphonia cristata Falkenberg
Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Melobesia membranacea (Foslie) Foslie [詳細情報]
岡村(1916)などに報告がありますが,M. membranaceaに該当する標本が確認出来ないことから,馬場・加藤(2023)は,M. membranaceaを日本産種から除外しました。
Mesophyllum yabei Ishijima
Ishijima (1942) が神奈川県から記載した化石種です。現生種ではないため,日本産種から除外しました。
イボイシモ Neogoniolithon mamillare (Harvey) Setchell & L.R. Mason [詳細情報]
Yendo (1902)はGoniolithon mamillare(現N. mamillare)を北海道から報告しました。日本産と認められる標本が見つからないことから,馬場・加藤(2023)は,G. mamillareを日本産種から除外しました。
Neogoniolithon propinquum (Harvey) Foslie [詳細情報]
Yendo (1902)はGoniolithon propinquum(現N. propinquum)を宮崎県から報告しました。馬場・加藤(2023)は,Yendo (1902)が引用したと考えられる標本が,G. propinquumではなくイシノミ(N. setchellii)であったことから,G. propinquumを日本産種から除外しました。
Neoizziella divaricata (C.K. Tseng) Showe M. Lin, S.Y. Yang & Huisman [詳細情報]
  大葉(1995)が"Liagora divaricata"として沖縄県阿嘉島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Palisada concreta (A.B. Cribb) K.W. Nam
  Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Peyssonnelia obscura Weber Bosse [詳細情報]
大葉(1995)が沖縄県阿嘉島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Phyllophora japonica Yendo [詳細情報]
Yendo (1920) が鹿児島県甑島から記載しました。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Phymatolithon polymorphum Foslie [詳細情報]
岡村(1916)などに報告がありますが,P. polymorphumに該当する標本が確認出来ないことから,馬場・加藤(2023)は,P. polymorphumを日本産種から除外しました。
オオイトグサ Polysiphonia brodiei (Dillwyn) Sprengel [詳細情報]
  Segi (1951) が,遠藤吉三郎博士が北海道忍路で採集した標本を基に報告しました。現在のところ,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Polysiphonia coacta C.K.Tseng
  Hata et al. (2002), Hata & Kato (2003)が沖縄県瀬底島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Polysiphonia denudata (Dillwyn) Greville ex Harvey
  八木 (1939) が"Polysiphonia variegata"として瀬戸内海から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Polysiphonia sphaerospora Børgesen
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Polysiphonia subtilissima Montagne
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Polysiphonia villum J. Agardh
  Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草で報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,表に名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Prionitis australis (J. Agardh) J. Agardh
  Yendo (1916) が伊豆,相模,志摩から報告しましたが,同定は疑わしいとしています。岡村(1936)は,Carpopeltis属であると指摘しています。実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Womersleyella setacea (Hollenberg) R.E. Norris
  Hata et al. (2002) が沖縄県瀬底島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
 
リストから除外した種類(緑藻)
 
Chaetomorpha minima Collins & Hervey
Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
マガイツヤナシシオグサ Cladophora rupestris (Linnaeus) Kützing
  Hoek & Chihara (2000) によると,日本産と認められる標本がないことから,日本産種から除外しました。
Cladophoropsis membranacea (Hofman Bang ex C.Agardh) Børgesen
  Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Codium geppiorum O.C. Schmidt
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Halicystis pyriformis Levring
  Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Penicillus sibogae A. Gepp & E.S. Gepp
  Hata et al. (2002), Hata & Kato (2003)が沖縄県瀬底島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Phycoseris gigantea var. perforata Kützing
Phycoseris lapathifolia Kützing
Phycoseris lobata Kützing
  Martens (1868) が横浜,横須賀,長崎などで報告しています。これらの種はいずれもアオサ属(Ulva)の1種と考えられますが,これまで日本で報告されたことはなく,Martens (1868) の記述から種を判断することもできないため,日本産種から除外しました。
Ulva lactuca var. lacinulata (Kützing) W.R. Taylor
  大葉(1995)が"Ulva lactuca f. lacinulata"として沖縄県阿嘉島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Ulva simplex auct. non (K.L. Vinogradova) H.S. Hayden et al. (2003)
  Ogawa et al. (2013) は福井県三方五湖,南川,茨城県涸沼で"Ulva simplex"を採集,報告しました。Hiraoka et al. (2017) は,Ogawa et al. (2013) が報告した"U. simplex"は,U. simplexとは別種であるとして"Ulva simplex sensu Ogawa et al."としました。その後,Cui et al. (2018) はU. simplexをスジアオノリ(U. prolifera)の異名(シノニム)としています。"Ulva simplex sensu Ogawa et al."は,U. simplexとは別種と考えられるものの,現時点では種の判断が付かないため,日本産種から除外しました。
Ulvella leptochaete (Huber) R. Nielsen, O'Kelly & Wysor
  Titlyanov et al. (2019)が熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Ulvella viridis (Reinke) R. Nielsen, O'Kelly & Wysor
  Titlyanov et al. (2016)が与那国島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
 
リストから除外した種類(褐藻)
 
Castraltia salicornoides A. Richard
  Martens (1868) が横浜で報告しました。Castraltia salicornoides(現Scaberia agardhii)はオーストラリアに分布している種類で,これまで日本で報告されたことはなく,別種の可能性が高いと考えられます。実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Cladosiphon erythraeus J. Agardh
Martens (1868) が長崎で報告しました。Cladosiphon erythraeusNemacystus erythraeusの異名同種(シノニム)ですが,N. erythraeusがこれまで日本で報告されたことはなく,モズク(N. decipiens)かそれに近い仲間と考えられますが,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Dictyopteris camiguinensis Tak. Tanaka [詳細情報]
  大葉(1995)が沖縄県阿嘉島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Haplosiphon filiformis auct. non Ruprecht (1850)
Martens (1868) が長崎で報告しました。Haplosiphon filiformisはイトマツモ(Analipus filiformis)の異名同種(シノニム)ですが,Martens (1868) が報告した"H. filiformis"はツルモ属(Chorda)の1種と考えられます。分布域からツルモ(Chorda asiatica)と考えられますが,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
ブルウキモ Nereocystis luetkeana (K. Mertens) Postels & Ruprecht [詳細情報]
  Nereocystis luetkeanaは,北海道や岩手県に漂着したことがあり(岡村 1929, 1931, 時田 1939, 1962,川嶋 1986など),「ブルウキモ」と名付けられています。北アメリカ大陸西部に分布し,日本での自生は確認されていないため,日本産種から除外しました。
Sargassum acinarium auct. non (Linnaeus) Setchell (1933)
  Martens (1868) が日本(産地不明)で報告しました。Yendo (1907) によるとフシスジモク(Sargassum confusum)と考えられますが,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Sargassum fuliginosum auct. non Kützing (1849)
  Martens (1868) が長崎で報告しました。Yendo (1907) によるとフシスジモク(Sargassum confusum)と考えられますが,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
Sargassum japonicum Sonder
  Grunow (1916 p.16) に日本(産地不明)として掲載されています。初出が分からないため本リストへの掲載は保留しました。仮にGrunow (1916) が初出ならば,S. japonicum (G. Martens) Kuntze (1880) (オオバモク S. ringgoldianumの異名)の後続同名(later homonym)となるため,国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)において非合法名(illegitimate name)となります。
Sargassum subrepandum auct. non (Forsskål) C. Agardh (1820)
  Martens (1868) が長崎で報告しました。Yendo (1907) によると別種と考えられますが,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
ヒラエモク Sargassum swartzii C. Agardh
  大葉(1995)が沖縄県阿嘉島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Sphacelaria novae-holandiae Sonder
  Titlyanov et al. (2016, 2019)が与那国島と熊本県天草から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Turbinaria condensata Sonder
  大葉(1995)が沖縄県阿嘉島から報告しました。これまで日本で報告されたことの無い種類ですが,リストに名前を挙げているだけで,同定の根拠が不明のため,日本産種から除外しました。
Zonaria durvillei auct. non (Bory) Kützing (1849)
  Martens (1868) が横浜と長崎で報告しました。Zonaria durvilleiPadina durvilleiの異名同種(シノニム)ですが,P. durvilleiがこれまで日本で報告されたことはなく,分布域からウミウチワ(P. arborescens)と考えられますが,実体を明らかにするのは困難と考えられるため,日本産種から除外しました。
 
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